関西北部を行く

5月21日。朝、起きて、ウサギに着替えてテントをたたんで出発。しかし、そのウサギがもう臭いし汚い。毎日汗を染み込ませながら走ってるんだから当然だ。早く洗ってしまいたい。しかし、ウサギはこれ一着しかないので、洗う事が出来ないから、しょうがない。そういう訳で汚くて臭いのを我慢して走る。

今日も、建設省の嫌がらせを避けつつ、国民に手を振りながら走っていく。すると、コインランドリーを見つけた。せっかくだからウサギを洗ってしまう事にした。そう言えば、ウサギ以外の服も洗ってなかったから、かなり汚くなっているはず。そんな訳で、まとめて全て洗ってしまう事にした。大きい洗濯機の中に洗濯物を入れてスイッチオン。出来あがるまで、短パン姿で待つ。乾燥機で乾燥もしてしまわないとならなかったので、かなり時間がかかってしまった

やっと洗濯が終わって、綺麗なウサギで再出発した。やっぱり綺麗なウサギは気持がいい。かなり遅れてしまったけど、急いでるわけでないので、ま、いいか。国道312号から、国道178号に出る。天橋立があるので、見ていく。日本で有名な観光地だから、やっぱり寄っていきたい。そんな訳で天橋立観光。チャリで橋立を渡ってみる。すると、そこで鳥取のキャンプ場で会ったチャリダーに再会した。彼は本格的なチャリダーで、荷物もいっぱい持ってるし、自炊の道具も持ってるみたいだし、自転車もとてもいいやつだ。彼と再会を祝う。彼は今日、ここに泊まるというので、またの再会を祈って別れた。その後、俺は観光リフトに乗って天橋立の展望台に行く。天橋立は海と海の間に一筋の道が伸びているように見えてステキな眺めだ。せっかくだから、「股覗き」をする。

天橋立を後にして、由良浜温泉まで走る。今日も温泉に入れそうだ。由良浜に着いて、温泉を探していたら、ホテルの宿泊客以外は温泉に入れないらしい。せっかく温泉に入れると思ったのに、ちょっとショック。もうちょっと先の温泉を探したけど、地図には載ってなかったので、今日は温泉を諦める事にした。

 テント設営地:宮津市、由良浜の海岸。

5月22日。朝、とても風が強かったので、風が弱くなるまでテントの中でボケーっと待ってからテントをたたんで出発。そのため、今日は10時出発。国道27号をひたすら走る。当然、今日も建設省の嫌がらせを受けつつ、車に手を振りながら…。しかし、京都ナンバーの車にはたくさん手を振ってもらえなかった。もうすぐ琵琶湖なので、今日はちょっと寄り道をして、琵琶湖で泊まることにした。国道27号から国道303号に出て、琵琶湖目指してひたすら走る。そのかいあって明るいうちに琵琶湖に着いた。しかし、テントを張っていい所がなかなかみつからない。琵琶湖の辺はほとんどキャンプ禁止の看板が立っている。そんな訳なのでテントを張ってもいい所を真剣に探す。チャリでウロウロしながら探してると、1台の車が手を振ってくれた、当然俺も振り返す。すると、その車は止まってしまった。そして、一人の男の子が中から出てきた。

車から出てきた男の子は面白い事が大好きな徳田君。大阪に住んでいて、今日は琵琶湖でカヌーの試乗会が会って、それに参加しに来たのだそうだ。その帰りに俺と出会ったらしい。俺の写真を撮りたいというので、快くパシャリ。そんなこんなでお話してるうちに、少し暗くなってきた。俺は早く、テントを張る所を探さないとならない。すると、徳田君はこの近くでテントの張れる場所を知っているというので、早速案内してもらう事に。徳田君の案内で暗くなる前にテントを張る事ができて、一安心。徳田君に感謝。すると、徳田君は今、スパゲティー作りに凝っているらしく、俺にスパゲティーをご馳走してくれると言う。お言葉に甘えてご馳走してもらう事になった。何と、彼は野外での自炊の道具を持ち歩いてたのだ。ビックリした。ちなみに俺は自炊をしてない。毎日の食事はおにぎりやパンを買って食べている。なるべく、コンビには避けて、地元の小さな商店で買うようにしている。これも、日本を知る事に一役かっているのだろう。どこのお店も俺の姿を見てビックリするけど、ちゃんと物は売ってくれる。賞味期限が切れているのもたまに有ったけど、それもまた旅の思い出。

徳田君は手際よくスパゲティーを作っていった。美味しいスパゲティーだった。食後も、俺と徳田君はいろいろと話をする。今日は徳田君もここに泊まって行く事にした。焚き火をしながら、俺の旅の話や徳田君のカヌーの話をしたりして、夜通しで2人の話に花が咲いた。焚き火を見ながらの、とても楽しい夜になった。明け方近くなって、2人とも疲れてしまっていたけど、気付くと、ちょうど朝日が出て来るところで、とても綺麗だった。結局テントを張ったけど、ほとんど寝ないまま朝を迎えてしまった。

 テント設営地:今津町、琵琶湖湖畔。

5月23日。昨日はほとんど寝ていない。ちょっと辛いけど、大丈夫でしょう。今朝も徳田君にスパゲティーをご馳走になる。徳田君のスパゲティーはホントに美味しい。朝食の後、1時間半ぐらい仮眠を取ってから、徳田君に連れられてカヤックに乗りに行く事になった。昨日の徳田君の話では、今日もカヤックの試乗会をやっているのだそうだ。誰でも乗る事が出来るらしいので、徳田君に乗せてもらう事にした。カヤックなんて初体験だ。ちょっとドキドキする。大勢いるところにウサギで行くのもちょっと恥ずかしいから、テントは張ったまま、徳田君の車でカヤックの試乗会に行く事にした。カヤックの会場にはたくさんのカヤックが湖畔にあって、どれに乗ってもいいのだそうだ。湖に出る前に徳田君にパドルの持ち方を教えてもらう。簡単に教えてもらった後に、すぐに、初心者用のカヤックに乗って湖に出る。思ったより簡単に乗ることができた。ちょっとうれしい。パドルを漕ぐと、ちゃんと前に進んでくれる。だんだんコツを掴んできて、自分の思うように操れるようになってきた。試乗会という事で、2、3艇のカヤックに乗った。1つのカヤックに10分ぐらい乗る事ができたので、全部で30分ぐらいの間琵琶湖の上に浮かんでいた事になる。生まれて初めてのカヤックは面白かった

思いもよらずに琵琶湖でカヤックに乗る事ができた。ママチャリで日本を縦断している時にカヤックに乗ってしまうとは「よもや」思ってもみなかった。そんな事を思っていると、なんと彼、徳田君は「よもや隊」の隊長なのであった。「よもや隊」とは、思いもつかないような事をしてしまったり、思いもよらない事態を引き起こしてしまう人達である。俺は「よもや隊」の北海道支部長に任命された。これからは「よもや隊」の名に恥じない様にしましょ。

よもや隊、北海道支部長に任命された俺は隊長に見送られて、又ウサギに戻り札幌目指して走る。昨日、徳田隊長に教えてもらった、温泉を目指してひた走る。しかし、今日は、カヤックに乗ってしまったので出発は11時ごろだった。時間的に今日中に温泉に着けるかどうかは微妙だ。しかも、昨日の夜はほとんど寝ていないので、かなり不安だ。でも、急いでる旅ではないので、温泉が明日になっても、良いんだけどね。

隊長と別れてから、温泉を目指してひたすら走る。しかし、途中にある「気比の松原」がとても気になる。日本三大松原の1つなんだとさ。九州で見た虹ノ松原に続き、気比の松原もせっかくだから見ていくことにした。気合を入れて気比の松原を目指す。すると、途中でチャリンコに乗って旅をしている白人のカップルに出会った。地図を見ながら迷っていたので、道を教えてあげた。彼らは自転車で関東、中部、関西、北陸を旅している最中だと言っていた。日本語はとほとんど出来ないカップルだった。知らない国を自転車で周る旅なんてステキだ。 彼らは俺のウサギの格好の理由を知りたがっていたけど、英語ではうまく説明できなかったので、楽しいからだ、と伝えておいた。彼らはきっと俺の事を不思議に思っただろうけどね。今度は彼らの様に海外をチャリで旅するのも面白いかもしれない、と、思いつつ、俺は気比の松原を目指す。

白人カップルと別れてから、気比の松原に到着。思った通り、ただの松林だった。一通り、気比の松原を観光。その後はひたすら走る。国道8号から国道305号に入って、海岸沿いを走る。綺麗な夕日を見ながら走っていき、何とか、隊長の教えてくれた温泉にたどり着けそうだ。温泉の名前は漁火温泉。露天風呂から夕日を見る事ができて、とてもいい温泉らしい。幸いにまだ、明るいうちに漁火温泉に到着できた。早速、テントを張れる空き地を探したけれど、みつからない。困り果てて、民家の軒先にテントを張らせてもらう事にした。テントを張って人間に戻って、温泉に行く。隊長の言っていた通り、温泉は気持よかった。頑張って走ったかいがあった。

 テント設営地:越前町、漁火温泉の近くの民家の軒先。

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