おそるべしウサギて

5月7日。とうとう昨日から今回の旅の本編スタート。スタートするまでに、10日以上もかかってしまった。でも、急いでる旅ではないし、7月の終わりまでには札幌に到着すれば良いし、もし、遅れても何も不都合が無いのでゆっくりと日本を見ながら、寄り道をしながら旅をする。本格的にチャリンコで走るのは今日が最初。ウサギに着替えてテントをたたんで、さっそく出発。国道226号をひた走る。まわりを走ってる車が手を振ってくれる。俺も振り返す。「頑張れよー」と声をかけてくれる車もある。けっこう楽しい。ウサギの格好をして良かったかも。途中の飲み水を買いに行くのも、昼飯を買うのも全部ウサギ。店の人はビックリしてしまうけど、ちゃんと売ってくれた。出発してからたくさんの人に手を振った。そんな中、ゲンチャリで九州一周の旅をしているの男の子に出会った。彼は俺がこのカッコで日本縦断していると聞いて、ビックリしていた。まー、ビックリするわな。その後、彼は九州一周を終えて、そのツーリングレポートをモーターサイクリストというライダーの雑誌に投稿。俺と一緒に取った写真も載ってた。が、編集者のコメントで俺のことを「稲中の前野みたいだ」と、書いてあった。ムカツク。

今日のルートは国道226号をずーっと行こうと思ったけど、小さな峠がいっぱいあって、道幅が狭くなり、登り坂がたくさん出てきて坂道がめんどくさくなってしまった。そんなわけで、久志と言う所からショートカットして、国道270号に出る。国道270号を北上して行くと、もう夕暮れが近くなってきた。地図を見ると吹上浜という所があって、「白砂青松100選」「渚100選」と、書いてある。さすがMAXマップル。いい事、載ってる。今日はその「白砂青松100選」「渚100選」の吹上浜という所に泊まる事にした。

 テント設営地:金峰町、万乃瀬川河口近くの吹上浜。

5月8日。今日は昨日に続いてひたすら走る。途中でたくさんの人が手を振ってくれて、俺も手を振り返す。なんだか手を振るのが仕事みたいになってきてる。手を振るだけで仕事になるのって、俺と天皇陛下ぐらいだろうなぁ~。等と、くだらないことを考えつつも、ひたすら走る。国道270号から国道3号になる。それでも、ひたすら走る。夕方近くになってきて、道の駅阿久根でトイレに寄ったら、ドライブに来ている人達に囲まれて、質問攻め、写真攻めにあった。言うまでも無く、理由はウサギだから。地図を見るともう少し行ったところに阿久根温泉がある。今日のゴールは阿久根にする事にした。街のど真ん中に公園があって、そこにテントを張って、ウサギから人間に戻って温泉に行った。やっぱり温泉は気持良い。今日は綺麗な身体で寝る事が出来る。が、町の真中だったから車の音がけっこううるさかった。

 テント設営地:阿久根市、町の真中の公園。

5月9日。今日は途中でフェリーに乗って牛深という所に行く事にした。朝、テントをたたんで国道3号から国道389号に向かう。長島という所からフェリーが出てるらしいので、そっちに行ってみる。フェリー乗り場があって、職員の人に聞いたら、30分ぐらい後に次の船が出るらしい。他にも車やライダーがいたけど、チャリは俺だけだった。フェリーの中では皆さん遠目に俺のことを眺めてる。まー、ウサギでフェリーに乗る人なんて、あまりいないよね。フェリーは30分ぐらいで牛深に着いた。そして、またチャリンコで走り出した。こっちの方はあまり車が走ってなく、ただひたすら走ることができた。今日はこの辺の運動会だったみたいで、学校のグランドで片付けをやっている。横を走ってたら、子供達に囲まれて、質問攻めにあった。札幌を知っている子がいて、とても驚いていた。そのうちにサインをくれと言い出したので、サインしてあげた。「家宝にする」とか言ってくれた。絶対にあっという間に無くしてしまうだろうけど、嬉しかった。子供達と別れてから、県道を走る。ほとんど交通量が無くて、自然の中を走ることができて、気持ちいい。スーパーカブに乗ったおじさんが向こうからやって来て、ちょっと止って話しかけてきた。チョロッとお話して、頑張れよっ!といってデッカイみかんみたいな果物をくれた。この辺は田舎だけどいいところだ。そろそろ今日の寝床でも見つけようかなと思いながら走ってると、一台のスポーツカーが俺を抜かしていった。と、思ったら引き返してきた。そして、窓からにーちゃん二人組が顔を出して、「酒飲みたいか?」と俺に声をかけてきた。訳判らないけど、とりあえず俺は「ハイ」と答えてしまった。

そしたら、ついて来いという事で、俺はスポーツカーのにーちゃんに付いて行く。なんだか変な事になってしまったけど、面白そうだし、これからどうなるだろ?なんて思いながら数キロ先にある、にーちゃんの行き付けのメシ屋に連れていってもらった。そこに入って、二人組のにーちゃんは俺にビールを飲ませながらいろいろ質問してきた。ご飯も食べさせてくれて、なんだか至れり尽せりでとてもありがたい。アラスカのことからいろいろと話をした。そのうちに他のテーブルのお客さんまで話に入ってきて、もーメチャクチャになり、みんなベロベロになっていった。俺に話しかけてくれたにーちゃんは「カーチャンと子供が待ってるから」と言って、途中でお金だけ払って帰ってしまった。本当にありがとう!!にーちゃんたちが帰ってから、俺も寝る事に。メシ屋の主人が泊まっていけと言ってくれた。しかし、あまりにも申し訳無いので断ったけど、「いーから泊まってけ」と放してもらえず、車を借りて寝ることにした。今日はテントを張れなかったので、ウサギのまま寝る事になった。しかもベロベロに酔っぱらって。

 テント張らず:新和町、親切な人のワゴン車の中。

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