続・アンデス北上

朝、ナスカを出発してリマに向かう。バス会社でリマ行きのバスの出発時間を聞いた。するとリマに行くバスは夜遅くでないと来ないのだそうだ。そんな夜遅くまで何をすれば良いというのだ。困り果てていると、バス停の近くにイカと云う街に行く乗り合いタクシーの乗り場があると言うのだ。これに乗ってイカまで行けば、そこからリマ行きのバスが出てるらしいのだ。

ナスカで夜までバスを待つよりも、とりあえずイカに行く方が良いと思い、乗り合いタクシーで出発する。イカに行く途中で山に描かれた地上絵を見る事ができた。乗り合いタクシーは昼過ぎにイカに到着した。早速、バス会社を探しながら街の中をお散歩する。なかなか素敵な街である。イカの街が気に入ってしまったので、今日はここで一泊する事にした。ホテルを決めて街の中をお散歩するうちに夜になった。次の日の朝、少し遅く起きてリマ行きのバスに乗った。

お昼過ぎにリマに到着した。リマからはトルヒージョと言う所に行く。トルヒージョ行きのバスは夜の10時に出発するらしいのだ。それまでかなりの時間があるのでリマ観光をする。大統領府とアルマス広場と云うところを見てきた。帰りに旨そうな屋台を見つけたので現地人と一緒になってそこで食べた。夜のリマを歩くのはチョット怖いので早めにバスターミナルに戻ることにした。

夜行バスに揺られて、次の日の朝にトルヒージョに到着した。バスを降りるとホテルの客引たちが集まってきた。1番安いホテルに決めてホテルまでその客引に連れて行ってもらった。ホテルでシャワーを浴びて、街の探索に行く。なかなか素敵な街並みである。探索の途中でツーリストインフォメーションを発見した。ここで観光情報を手に入れることができた。

トルヒージョには太陽と月のワカと言う遺跡があるそうなので行ってみることにした。インフォメーションで遺跡までのバスの乗り方も教えてもらった。バスを3回ほど乗り換えて太陽と月のワカの遺跡に到着できた。ワカとはピラミットのようなものである。太陽のワカは只の丘のようになっていた。月のワカは発掘が進んでいて壁画などを見ることができた。しかも、無料のガイド付きである。月のワカは何層にも重なっていて、下の層になるほど古くなっているらしい。なかなか見応えのある遺跡だった。

次にチャンチャン遺跡と言う遺跡を見に行く。太陽と月のワカとは違う場所にあるので、別のバスに乗って遺跡に向かう。バスは何も無い道の真ん中で俺を降ろした。運転手はここから砂利道を歩いていくとチャンチャン遺跡があると教えてくれた。良く見ると看板が立っていてチャンチャン遺跡まで1、3キロと書いてあるようだった。遠くに見える大きな砦みたいなものがチャンチャン遺跡なのであろう。

遺跡までは車が通れる砂利道もあるのだが、その砂利道から少し離れた所に土壁が延びていた。せっかくなので土壁の所を歩いていくことにした。土壁は保存もされていなければ修復もされていない当時の姿で立っていた。崩れかけている部分もある粗末な土壁なのだが、それが感激である。土壁は遺跡まで延びているみたいだ。途中で大きく崩れてる所があって、そこから土壁の上に登る事ができた。眺めは素晴らしかった。この辺りは何も無い砂漠になっていて土壁だけが立っているようだ。歩いているうちに土壁が何重にも巡らされるようになってきた。もうすぐ遺跡に到着するのであろう。

バスを降ろされてから、かなり歩いて遺跡に到着した。入場ゲートがあって、今までよりも立派な土壁で遺跡が囲まれているみたいだ。チケットを買って中に入った。素晴らしい遺跡だ。綺麗なレリーフが施されている。遺跡の中は思っていたよりもとても広くて、迷路のようになっている。更にもう1つ奥にも遺跡があってそちらにも行くことができた。遺跡の中には展望台があって遺跡の全貌を見渡すことができた。

次の日の朝チクラヨと云う街に向けて出発する。チクラヨにはお昼頃到着した。この街でエクアドル行きのバスを探す。エクアドル行きのバスターミナルはすぐに見つけることができたので、そこでチケットを買ってしまう事にした。バスの出発時間は夜の10時。それまで、チクラヨの街を探索することにした。歩いていくと市場があったので、そこをブラブラ探索した。かなり大きな市場で見応えがあった。

チクラヨの近くにも遺跡があるらしい。行ってみようかと思ったが、その遺跡の存在を知ったのが夕方だったので時間が足りなさそうである。そんな訳でこの遺跡には行かないことにした。

エクアドルとの国境の町はツンベス。夜の10時にチクラヨを出発して、まだ暗いうちにツンベスに到着した。バスを降ろされた所から国境までは4キロほどあるのだそうだが、まだ夜が明けてない。歩きまわるのは怖かったのでタクシーに乗って国境まで行く。国境には橋がかかっていて橋の向こうがエクアドルである。橋を渡る頃にようやく空が明るくなってきた。やっぱり外が暗い時に知らない町を歩くのは不安だ。明るい方が安心できる。

とりあえずエクアドルの首都のキトを目指す。エクアドルに入国してバスで1時間ほど走ったところにマチャーラと言う町がある。そこからキトに行く夜行バスが出てるのだそうだ。それに乗ってキトに行くことにしたのだが、そのバスの出発も夜の10時なのだそうだ。今日1日はマチャーラ観光をする事にした。荷物をバスターミナルに預けて街の中心に行ってみる。

この町は俺にとってエクアドル最初の街である。エクアドルの物価や人々を観察することにした。物価はそんなに高くは無いようだ。ボッタクリ商人もそんなにいないらしいし、親切な人も多そうだ。マネキンもある程度のオシャレ感覚で作られている。第1印象は素敵な国である。

夜行バスでキトに到着したのは朝の9時ごろである。キトが近づいてくると綺麗な景色が見えてきた。キトは赤道直下にあるエクアドルの首都である。赤道直下に位置するのだが山に囲まれた標高が2800メートルの場所にあり涼しい気候なのだ。朝の綺麗な高原の景色を眺めているうちにバスはキトに到着した。

早速ホテルを探すことにした。キトには何日か滞在してコロンビアの情報を集めようと思っている。コロンビアにはゲリラがいるので恐ろしいらしいのだ。場合によってはキトからパナマまで飛行機で行く事も考えている。

ホテルを決めてからキトの市内を見て周ることにした。日本大使館も発見したので、パナマやコロンビアのビザや治安の情報を聞いてみた。ついでにキトの市内観光もしてしまう事にした。なかなか良い街である。

キトのホテルでは日本人の男の子と相部屋になった。彼の名前はヤスシ(仮名)くん。世界一周航空券で旅をしているのだそうだ。だいたい俺と似たようなルートを周ってきたみたいなので、話しが盛り上がった。今日は一緒に夕食を食べに行くことにした。久々の日本語の会話で楽しい一時を過ごす事ができた。

次の日、お昼前から2人でキトの観光に行く。キトの市内には綺麗で有名な教会がたくさんあるらしいのだ。2人で街の中を歩いていると、たくさんの人がハンカチで口や目を押さえながら逃げ回っていた。ただならぬ気配が町の中に漂っている。暴動が起こっているようだ。機動隊が出動して、民衆を追い立ててるようだ。何が起きてるのか知りたくなって俺とヤスシ君は恐る恐る民衆の中に入っていった。そのうちに機動隊が催涙弾を発射して民衆を威嚇しているのを目撃した。

俺とヤスシ(仮名)くんは機動隊と民衆のぶつかり合いが見える位置まで来てしまったのだ。機動隊が民衆に向かって催涙弾を発射するので民衆は逃げ回る。民衆の中には石を投げて機動隊を威嚇する人もいた。実際にそれを目の前で見てしまった俺は恐怖を感じた。危険が身に及ぶ前にその場から逃げた。

機動隊と民衆の衝突を避けながら、目当ての教会の近くに来る事ができた。しかし、教会の近くの交差点にも民衆がたくさん集まっている。民衆の中に英語が話せる人がいたので、いったい何の騒ぎなのかを聞いてみた。すると、今日の騒ぎは公務員の給料を上げてもらうためのデモなのだそうだ。彼らは学校の先生でとても安い給料しかもらってないので、それを抗議する為のデモだと話してくれた。

ヤスシ君はデモの成り行きをもっと見ていたいようだったけど、俺は身の危険を感じたので機動隊を避けながらホテルに戻ることにした。2人とも無事にホテルまで戻る事ができた。

次の日は平穏無事なキトの市内に戻っていた。我々は赤道に行くことにした。ヤスシ(仮名)君が赤道までの行き方を調べていたので俺は彼に付いていくことにした。キトの市内から赤道まではバスで1時間ほどかかった。赤道に到着すると大きな赤道記念碑が見えた。当然、我々はみんながやるように赤道をまたいで写真を撮った。ここが北半球と南半球の間なのだ。赤道から少し離れた所に博物館のような建物があったが、見た感じがちんけだったので博物館には行かないことにした。2人とも満足してキトに戻ってきた。

帰りのバスは途中で降りて野口英世の銅像が有るという公園に行った。とても広い公園だったので2人で野口英世の銅像を探しまわった。色々な人に聞きながら探したのだが、結局、野口英世の像を見つける事ができなかった。

キトから少し離れた所にオタバロと云う村があるそうだ。この村の土曜市はとても凄いとヤスシ(仮名)君が薦めてくれるので2人で行ってみる事にした。金曜日の午後に出発してオタバロで1泊する事にした。朝から土曜市を見学するためだ。

我々は金曜日の夕方にオタバロに到着した。早速市場の下見に行く。金曜日なのに市場にはたくさんのお店が並んでいた。今日はだいたいの町の地理を頭に入れ、夕食を食べてホテルに戻ってきた。これで明日の準備は万全である。

土曜日、朝早くから町に繰出す。すると、道路にもたくさんの出店があって、町全体が市場になってしまっている感じだ。これは迫力がある。この土曜市を目当てに来ている観光客がたくさんいて、おお賑わいである。しかし、朝早くから出歩いていたので、お昼過ぎには疲れてしまった。本当は今日もここに泊る予定だったのだが俺はキトに戻ることにした。ヤスシ君はもう1泊か2泊オタバロに泊っていくというので、いったんここで別れることにした。

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