果敢に観光

サファリホテルで毎日ダラダラと堕落した生活を送っていると、カイロ近郊の観光に行くのでさえ腰が重くなってしまうのだ。無理して今日観光に行かなくても、明日か明後日にでも見に行けばいいや。と、思ってしまうのだ。そうならないためにも勢いに乗って一気にいろんな所を見て周るのがいいだろう。

シーワオアシスから帰って来てすぐに、サユリ(仮名)ちゃんとよし子(仮名)さんはタクシーを借り切ってカイロ近郊にあるたくさんのピラミット達を見にいくらしいのだ。彼女達は行動的である。俺も見習わなくてはならない。そして、あれよあれよと言う間に俺も連れていかれる事になった。

エジプトの三大ピラミットとスフィンクスは最初の映画撮影の時に見に来ていたので、今日の目的は他のピラミット群を観光してくることだ。我々がシーワオアシスに行ってる時にサファリホテルにやって来た米田(仮名)君が加わって、よし子(仮名)さんとサユリ(仮名)ちゃんと俺の4人でピラミットツアーに行く事に決定。

4人でタクシーを1台借り切って観光をする。最初にタクシーの運転手と値段を交渉するのだけど、これが結構大変なのだ。タクシーの運転手だって、生活を賭けて値段交渉をしてくる。真剣勝負である。それでも、30分ぐらいで交渉成立して、ピラミット観光に出発。

俺はこれから何を見にいくのかを詳しく把握してない。よし子さんとサユリちゃんがちゃんと調べてきてくれているので二人におんぶにだっこで、くっついて行く感じである。米田君も二人のパワーに圧倒されているみたいだ。とにかく、女性陣二人に付いて行けば問題ないらしい。なんとも頼もしいかぎりである。

最初に訪れた所はサッカーラの階段ピラミット。ここは三大ピラミットとスフィンクスに負けないぐらいたくさんの観光客がいた。世界中からたくさんの人がカメラを持って観光バスからぞろぞろと降りてきている。観光大国エジプトの象徴みたいな場所の1つだろう。階段ピラミット自体はあまり大きくはなかったけど、ピラミットの回りには神殿の遺跡がたくさんあって、神殿にはレリーフなどがしっかりと残っていて素晴らしかった。

次に、ラムセス2世の博物館に向った。ここには大きなラムセス2世の石像が置かれてあった。とても大きい石像だ。それだけしかない博物館だったけど、迫力はあった。

そして、次に行った所は赤のピラミット。ここには観光客が殆どいなかった。我々4人の他に、2グループしか来ていなかったのでゆっくりと見学する事が出来た。赤のピラミットは均整が取れていて綺麗な形をしている。見ていて惚れ惚れとするほどだ。ピラミットの中に入る事も出来た。入り口はかなり狭いし急斜面になっていて腰をかがめて降りて行かなければならないので大変だった。ピラミットの中は結構広くなっていた。観光用に階段や手すりが付けられていて照明もあった。だけど、壁画や装飾という物は一切無くて、内部は只のがらんどうになっていた。そして臭かった。腐った水の臭いと小便の臭いが混ざっているような臭さがピラミットの内部に充満していた。

最後に屈折ピラミットを見に行った。ここには我々4人しか来ていなかった。軍事施設がすぐ近くにあるというので軍の検問を通過してやってきた。途中からピラミットの傾斜角度が変わっているのだ。不思議なピラミットである。砂漠の中にひっそりとたたずんでいるピラミットだった。

次の日、よし子(仮名)さんとサユリ(仮名)ちゃんはルクソールに向けて出発した。俺も誘われたけど、そんなに急いで観光を終わらせてしまう事もないと思ったので、今回はお断りした。ルクソールはまたの機会に行けば良い。

サファリホテルでのんびりしていると3人の旅人がバックパックを背負ってサファリホテルにやって来た。その中の一人に見覚えがある様な気がする。向こうも俺の顔に見覚えがあるみたいだ。あれれ?と、思うと向こうから「レッツゴローさんじゃないですか!」と、驚きながら声を掛けてきた。なんとその人はパキスタンでイランビザを取るために必死に動き回っていた梅(仮名)さんだった。

梅さんはあの時、インドに行くようなことを言っていた。そして実際にインドに行ったのだそうだ。そのインドでイランビサを取る事が出来たのだそうだ。それから梅さんはパキスタンに戻ってイラン、トルコ、シリア、ヨルダンと旅を続けて、エジプトまでやって来たのだそうだ。パキスタンで梅さんと別れてからは2ヶ月近くの時間が過ぎ去っているし、お互いに連絡も取らずに別れたのである。まさに偶然の再会だった。

カイロにある考古学博物館には前々から行きたいと思っていたのだけど、なかなかタイミングが合わなくて行けないでいた。いつでも行けると云う思いがあるから、おろそかになってた部分もあるので、早めに行ってしまう事にした。

この博物館には、かの有名なツタンカーメンの黄金のマスクが展示されているのだ。見学するのにも気合が入る。朝、サファリホテルのすぐ近くの店屋さんで、パラフェルと云うエジプトのサンドイッチ(?)を食べながら博物館に行く。

さすがに有名な博物館なだけあって、とても混んでいる。日本の観光客ツアーもたくさん来ていたので、その団体の後ろについて日本語の説明を盗み聞き。そのツアーの添乗員がちょっとイヤな目線を投げかけてきたが、お客さんの方と仲良くなると添乗員はとくに何も言ってこなかった。日本語の説明はとても有りがたいのだけど見学の進行スピードがとても早過ぎるのだ。考古学博物館を50分ぐらいで回ってしまったのだ。ツアーの人達は今日の午後には飛行機でルクソールに行くのだそうだ。忙しい限りである。ツアーの人達と別れて、もう1度最初から博物館を見学する。説明を聞きながら見学した時には見逃していた展示物もたくさんあって、それらを見ているうちに時間が過ぎて行った。

ツタンカーメンの黄金のマスクは厳重な警備の中に保管されていて、ツタンカーメン専用の部屋が用意されてあった。その部屋には黄金のマスク以外にも黄金の棺や黄金の副葬品たちが展示してあった。その部屋にある全ての展示品の黄金の輝きは素晴らしい物なのだが、その中でも黄金のマスクは飛びぬけて素晴らしかった。黄金のマスクには30分ぐらい引きつけられてしまった。黄金のマスクはどこか間抜けな表情をしていて、頼りなさげな感じがした。

ツタンカーメン専用の部屋には3回ぐらい足を運んだが、とても素晴らしかった。しかし、考古学博物館はツタンカーメン専用の部屋だけではないのだ。それ以外の展示品の方が圧倒的に多いのである。そちらも見ないとならない。ミイラだって何十体あるか分らないぐらい展示してある。何時間あっても全部見れそうに無いほどデカイ博物館である。

博物館を見学しているうちに、お腹が空いてきた。でも、まだまだ全部見る事が出来てないから、腹が減ってるのは我慢して見学。しかし、歩いているとふらついてくるのだ。かなりお腹が空いている。ゆったりと見学していられなくなった。今日の見学は諦めて帰ることにした。時計を見てみると、博物館にやって来てから5時間が経過していた。

考古学博物館に行った日はしし座流星群の日だったのだ。深夜の2時頃がピークになると言う情報がサファリホテルにもたらされた。サファリホテルの面々は深夜11時頃からタクシー4台ぐらいに分乗して、20人ぐらいでぞろぞろとピラミットに向って行った。カイロ市内はあかりが眩しくて流れ星が見えにくいために、郊外のピラミットの所まで行ってしし座流星群を見る事になったのだ。ピラミットから向こうは砂漠なので、比較的流れ星を見るのには適しているのだ。

ピラミットの近くでしし座流星群を見るなんて素敵だ。3時間ほど流れ星を見ていた。その間に大きな流れ星を10個ぐらい見る事が出来た。小さなものを含めるとかなりの数の流れ星を見る事が出来た。

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