魅惑なパキスタン

入国する時にビザ問題で驚かされてしまったけど、とにかく無事に第2国目のパキスタンに来ることが出来た。パキスタンに入国して最初の目的地がフンザ地方の中心的な村、カリマバード。到着したのは夜遅かったのでホテルで夕食を食べて、その後は一人で星を見にいった。夕食を食べ終わるころに村全体が停電になってしまったのだ。おかげで星がとても綺麗に見えた。しばらくすると停電が復旧してしまった。ホテルの屋上で星を見ていたけど電気がついてしまったので、部屋に戻って寝ることにした。

朝。少し寒い。標高が高いから、気温が低いんだろう。外に出て景色を見わたす。昨日、この村に到着したのが夜だったからわかんなかったけど素晴らしい景色だ。村が谷の中にすっぽり入っているような感じだ。何となく「天空の城ラピュタ」に出てきてもおかしくない村の景色だ。感激した。朝日はまだ山に隠れていて、顔を出していない。空気が清々しくてとても美味しい。カシュガルでマサ髭(仮名)さんや吉田さんがお勧めしてくれた理由がよく判る。来てよかった。

本当はフンザで1週間ぐらいかけてのんびりとトレッキング等をしたいんだけど、俺が国境でもらったビザはトランジットビザである。1週間以内にパキスタンの首都のイスラマバードに行って、ビザを延長しないとならない。だから、まずイスラマバードに行って、パキスタンビザを延長する。ついでに次にいく国イランのビザも取ってしまってからもう1度フンザに戻ってこの景色を堪能しようと考えた。だから、すぐにでもイスラマバードに行かなくてはならない。でも、朝の素晴らしい景色に感動してしまったため、出発予定を1日延ばして明日イスラマバードに向う事にした。

カリマバードの宿の俺のルームメイトは韓国人の男女2人。カップルだと思ったら、この2人も別々の旅をしていてパキスタンで偶然一緒になって旅をしてるとの事。そして、これからクンジュラーブ峠を越えて中国に向うのだそうだ。俺と彼らはお互いにほしい情報を持っていたのでそれぞれ情報交換をした。俺は彼らからパキスタンの地図を貰って、俺の中国地図を彼らにあげた。彼はイスラマバードのバックパッカー宿を教えてくれて、地図まで描いてくれた。イスラマバードの宿は彼がお薦めのその宿に泊まることに決定。一通り情報交換が終わって、俺は朝食を食べに食堂に行った。

俺と一緒にクンジュラーブ峠を越えてきた、高橋(仮名)さんも起きていて、2人で一緒に朝食を食べた。高橋さんはジープを借りきって氷河を見に行くのだという。それで、俺も一緒に行かないか誘ってくれた。俺は明日にはイスラマバードまで行ってしまわなければならなかったので、氷河を見たりトレッキングに行くのはイスラマバードから戻ってきてから行く予定だった。しかし、高橋さんのお誘いがあったので、高橋さんたちと一緒に氷河に行ってしまう事にした。

俺が思っていたよりもなかなか立派なジープに乗っけられて、氷河のある村に行く。途中は砂利道でホコリが凄い。1時間ほど走って小さな村に到着。洒落たペンションみたいなホテルがあって、そこから、氷河トレッキングに行くのだそうだ。俺と高橋さんともう一人の日本人の男の子、それに現地ガイドを一人雇って4人でトレッキングに出発。30分ぐらい崖を降りていくと、そこはもう氷河の上になるのだ。氷河までおりていく途中で崖崩れを見た。チョッピリびびる。

あっという間に氷河に到着。景色はとても素晴らしい。氷河の上に小石や砂が乗っかっていて、足で地面をジョリジョリと少し削ってやると、氷が出て来るのだ。ガイドが歩いた所以外はクレパスが隠れているかもしれず危険なので、気を付けて歩いていかければならない。

山を削りながらゆっくりと進んでいる氷河って不思議だ。今も年間何メートルかづつ動いているそうだ。景色は本当に素晴らしくて高橋(仮名)さんに誘ってもらえて良かった。

1週間以内にビザを延長するために、翌日には首都のイスラマバードに向う。午後3時ぐらいにフンザを出発して夜通し走っる。このバスは山道を凄いスピードでぶっ飛ばして行くのだ。ホントにものすごいスピードだ。がたがたの峠道でバスレースをしてるみたいなのだ。しかも、道から外れてしまうと崖下のインダス川にまっさかさまだ。ガードレールもちゃんと整備できてない道を猛スピードでぶっ飛ばして行くのだ。バス選びに失敗したと思っても、もう後の祭で運を天に任せるしかない。事故らないでおくれ。

しかも、バスの中はギュウギュウ詰の満杯だし、隣のパキスタン人は俺の方によっかかってきてホモっぽい。バスは俺の気持などお構いなしに夜通し走る。

朝6時ごろ、無事にイスラマバードに到着する事が出来た。早速、パスポートオフィスでビザを延長してもらわねばならない。でも、どこで延長してもらうのかも良く判らなかったから、とりあえず日本大使館に行ってイランビザを取るために必要なレターなるものを発行してもらう事にした。市内循環バスのバス停らしき所を発見して、日本大使館に行きそうなバスを教えてもらい何とか日本大使館に到着。初めての日本大使館にちょっとドキドキしつつも、イランビザを取るためのレターの発行を依頼。ついでにイラン大使館の場所とパキスタンビザを延長するためにはどこに行ったらいいか聞く。ちゃんと教えてくれたので、日本大使館を後にして、その足で早速ビザの延長をしに行く。しかし、パスポートオフィスが閉まっているために出なおし。しょうがないね。明日にしよう。

カリマバードの宿で一緒だった、韓国人の男の子に教えてもらったホテルを探す。ホテルの名前はポピュラーイン。彼の話しだととても有名な安宿だそうだ。市内バスに乗って、ポピュラーインの近くで降ろしてもらうようにお願いする。しかし、街の中心で降ろされてしまってバスの兄ちゃんは違うホテルを教えてくれた。俺は困って、色々な人に聞くけどポピュラーインを知ってる人は誰もいない。韓国人の男の子が描いてくれた地図を頼りにポピュラーインを探す。彼の地図だと、鉄道の駅から歩いて行けるぐらいの距離なので、鉄道駅を探しそれから地図の通りに進んで行く。しかし、ポピュラーインは見つからない。

町の中を探し回ってると、一人の日本人バックパッカーを見つけたので、ポピュラーインの事を尋ねてみた。すると、彼は今朝までそこに泊まってたらしいのだ。そして、ガイドブックを見せてくれてポピュラーインの場所を教えてくれた。すると、韓国人が描いてくれた地図がまったくのデタラメな地図だった事が判明した。あの、韓国人にしてやられた訳だ。こんな地図を頼りにしてたら絶対にたどり着く訳がない。正しい知識を身に付けて、再度ポピュラーインを目指す。

近くまでは来ているみたいだけど、また迷ってしまった。ダメだね。俺。そこいらのパキスタン人に聞いてみるとポピュラーインを知っていると言って、わざわざポピュラーインまで案内してくれた。そして、ようやくたどり着く事が出来た。探し始めてから6時間が経っていた。空は暗くなっていた。俺はへとへとに疲れていた。

ポピュラーインにたどり着くなり、けんたさんと再会。涙がチョチョ切れそうだった。二人で夕食を食べに行く事にした。そこで、俺はけんたさんに韓国人の描いてくれた地図があまりにもいい加減だった事を話した。すると、けんたさんは日本人の地図を描く能力って言うのは飛びぬけて素晴らしいものなのだ。と、話してくれた。韓国人の彼は彼の能力を最大限に出して、あの地図を描いてくれたのであって、その地図に正確さを要求するのは無理な話しらしいのだ。別に韓国人の彼が手抜きして描いた地図ではなかったのだ。けんたさんの話を聞いて俺は日本人の地図を描く能力を褒め称えた。そして明日、けんたさんと一緒にビザの延長に行く事にした。

このホテルにはバックパッカーが沢山いて各自が情報交換をしていた。俺が案内された部屋にはアメリカ人のバックパッカーが一人。もう一人が梅(仮名)さんと言う日本人で3人部屋だった。梅さんはこれからイランに行くためにイランビザの発給を待っているらしいのだ。俺にとってはイランビザの先輩である。しかし、最近イスラマバードでのイランビザ取得が出来なくなっているらしいのだ。梅さんもここで、2週間近くイランビザの発給を待っているのだそうだ。毎日イランビザに振り回されているみたいで、疲れきっていた。

イランビザを取るのってそんなに難しいのか?俺もそんなに苦労しないとイランビザ取れないのか?新たな問題が浮上してきた。イランビザの発給を待っている間にフンザに戻ってトレッキングでもしてこようと思ってたのに、思惑通りにいかなそうな感じだ。

何はさておき、パキスタンビザだけでも早めに延長してしまおうと、けんたさんを含め総勢4名でビザの延長の手続きに行く。けんたさんがしっかり下調べをしてくれていたので、迷う事なくパスポートオフィスに到着。でも、俺が日本大使館の人に教えてもらった所とは全然違う。それでも、けんたさんが調べてきたオフィスでビザの延長が出来てしまった。ひょっとして、俺が教えてもらった場所は間違っていたんじゃないだろうか?

ビザの受け渡しが午後になるとの事で、4時間ほど時間があいてしまった。その間にみんなで昼飯を食べたり、バザールを見たり、イスラマバードのモスクを見学して、受け渡しの時間まで過ごし、パキスタンビザを手にいれた。

敦煌あたりからの心配のタネで、パキスタンの国境ではドキッとさせられた、パキスタンビザをようやく手に入れた。理屈は抜きにして嬉しかった。

けんたさんは明日から、フンザに戻って大自然を満喫しに行くのだそうだ。俺はイランビザの申請をした後に、けんたさんの追ってフンザに行く事にした。梅(仮名)さんの話しだと、イランビザを発給してもらうためにはけっこう時間が掛かるらしい。これから俺はイランビザに振り回されるんだろうか?

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