国境の町カシュガル

とうとうカシュガルに到着。とりあえず、ここまでは国境越え無しで来る事が出来たけど、ここ、カシュガルを過ぎるといよいよ国境。ホントに、パキスタンビザ無しで、パキスタンに入国できるんだろうか?悩んでもしょうがないから、ホテルを探して、夕食食べて、一泊することにした。今日の宿は久々の相部屋になった。俺の相棒は、最初、日本人だと思ったら、なんと、中国系アメリカ人のトム(仮名)だった。彼の母国語は英語になるんだけど、北京の大学に留学していて、中国語もぺらぺらなのだ。そんな彼と一緒に明日は自転車を借りてサイクリングでカシュガル観光に行くことにした。

天気は晴れ!朝から、トム(仮名)と一緒にサイクリング観光に出発。自転車を借りるのはトムの中国語でとてもスムーズ。道に迷いそうになっても、トムの中国語で簡単に道を聞ける。トムに頼りっぱなしなサイクリング。めぐる予定の観光地は街の中心にあるモスク、郊外の方にある香妃と言う人のお墓、その他にもいくつか観光地をトムとまわることが出来た。昼飯も、下町の雑踏の中で美味しくいただけだ。自転車を借りて、観光する事になるとは思ってもみなかったけど、今日1日、楽しいサイクリング観光になった。トムとサイクリングをしている途中で、トムと知り合いの日本人に出会った。彼もサイクリング観光をしていたので、3人で一緒にまわることにした。彼は山下(仮名)君。俺と似たようなルートで旅をしていると云う事だった。山下君にも、パキスタンビザの事を聞いてみた。しかし、彼はこれからチベットの方に行くということで、パキスタンビザの事はよく知らないらしい。でも、ビザが無くて、帰された人の話は聞いた事が無いとの事。カシュガルでも、正確な情報はまだ掴めないけど、完全に望みが断たれたわけじゃない!

次の日、トム(仮名)は飛行機で、北京の方に帰らなくてはならないらしい。バス停でトムと別れた後、俺は山下(仮名)君が滞在しているホテルに移ることにした。そっちの方が安いし、そのホテルからパキスタン行きのバスが出ているとの事だった。チェックインして、部屋に行ってみると、なんと山下君と同じ部屋。しかも、その部屋には他にも日本人旅行者が泊まっていた。ビックリした。こんなにたくさんの日本人が中国の西の果てを旅しているなんて思わなかった。しかも、みんな俺や山下君のように一人旅をしていて、偶然にこの部屋で知り合ったのだという。俺、カルチャーショック。早速、パキスタンビザの事を聞いてみると、けんたさんという人がビザは無いけど、パキスタンに行くとの事。やったー!!同じ境遇の人がいる!なんの解決にもならないけど、仲間ができて、俺の心の中ではパキスタンビザを手に入れたも同然だった。

パキスタンビザ問題。実際には何も進展してないけど、心の中だけで解決した俺は気分が楽になって、次の国の情報が欲しくなった。ラッキーな事に、俺の部屋にはパキスタンから国境を越えてきた、マサ髭(仮名)さんと吉田さんがいた。彼らのパキスタン話はとても面白かった。まず、パキスタンはイスラム教の国らしい。俺のイメージのイスラムっていうのは歴史の中でしかない。ウマイヤ朝やファーティマ朝とか、そんな知識しかなかった。

彼らから聞いたイスラムの衝撃の新事実としては、トイレでお尻を拭くのは水と左手。紙は使わないらしいのだ。紙で拭くよりもこのやり方の方が清潔だし、お尻を拭いた左手も臭くないらしいのだ。水をチョロチョロとたらしながら、お尻を洗うのはとても気持ちいいよ。と、マサ髭さんが熱弁してくれる。そんなにも進めてくれるので、おっかなびっくり、水洗いを試してみた。気持良い。ホントに左手も臭くならない。おおぉー!素晴らしい。この先、俺は紙を使わなくなっていった。

パキスタンにはホモがたくさんいるらしい。イスラムは戒律が厳しいから、女性とのお付き合いは出来ず、そのはけ口としてホモに走るのだという。しかし、2人とも自分の操は大丈夫だったという。それを聞いて少し安心。

さらに、マサ髭さんはスゴイ体験をしてた。ロバと一緒に1ヶ月間も旅をしたのだそうだ。バザールでロバを買って、そのロバと一緒に峠を越えたりしながら、1ヶ月かけて目的地の街まで旅をしたのだそうだ。話を聞くと、苦難の連続、面白いエピソードやロバと旅するための心得も教えてくれた。あと、ロバを買うときの良いロバの見分け方も教えてくれた。ちなみにマサ髭さんは目的地の街にて、1ヶ月間の旅を共にしたロバを良い値段で売る事が出来たとの事。

カシュガルでは日曜日にバザールが開かれるのだそうだ。俺が知り合った日本人達は、そのバザールを見るために、カシュガルに滞在してるのだそうだ。日曜日って、まだ2日も先だ。もし、日曜日にバザールを見て、月曜日出発するとしたら、俺はこの街に1週間も滞在してしまう事になる。1つの街にそんなに長く留まってしまっては旅にならない。 時間の無駄もはなはだしい。でも、みんな声をそろえて、カシュガルのバザールは素晴らしいから、見ておくべきだという。

俺としては帰りの飛行機のチケットはまだ買ってないし、時間に追われてどうしても、明日出発しなくちゃならない訳じゃない。でも、1つの街に1週間も滞在してしまうのは、納得いかない。悩んだ末に、みんなの薦めにしたがって日曜日のバザールを見ていくことにした。

ビザ無しで、パキスタンに行くけんたさんが写真を撮りに街を散策するというので付いて行く事にした。パチリパチリと写真を取りながら、散策。路地裏で子供達が遊んでたり、おじいさんがのんびり座ってたり、なかなか面白い。漢民族というよりも、中央アジア的な人種が多い。けんたさんと話をしながら歩いていると、そんな事に気付かされた。しばらく歩くと、日曜バザールの会場に出た。日曜日にはここに沢山の人が集まってきて、たくさんのものが売り買いされるのだと、けんたさんが教えてくれた。

とうとう日曜日。朝からバザールに出発。でも、朝早くはまだ、あまり人が出ていない。しかし、少し時間がたつと沢山の人が出てきて、市場はごった返してきた。その市場の広さはとても凄かった。行けども行けどもまだまだ続いている。フルーツ市場、豆市場、肉市場、帽子に靴に織物、鶏、ヤギ…。たぶん全体を見渡すのは無理なんじゃないかと思うぐらい広い。俺は歩き疲れる。店屋でフルーツジュースでも飲んで休もうとしてると、近くに観光のマイクロバスが止ってその中から、カメラを手にした白人達がぞろぞろと出てきた。中にガイドっぽい人もいる。こんな奥地までくるツアーがあるのだなと思ってビックリした。すると、他にも似たようなバスが何台もあって、似たような白人が同じようにカメラを持って観光してる。日本人のツアーバスも1台ぐらいあったような気がしたけど、わすれた。

ジュースを飲みながらユックリしてると、マサ髭(仮名)さんがやってきた。彼も歩きつかれて、ちょっと休みに来たらしい。ジュースを飲みながらマサ髭さんと話をして、それから2人で一緒に市場を散策することにした。途中で俺は歩きつかれてしまったので、マサ髭さんと別れて先にホテルに戻ることにした。

カシュガルに1週間滞在しても、見る価値はある、デッカイバザール。その広さに驚き、歩き疲れてしまった。

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