敦煌の莫煌窟
敦煌に到着。嘉峪関(カイオクカン)から、敦煌まではほとんど1日バスで移動。それでも、砂漠の景色を見ながらの移動で、シルクロードを旅していることを実感する。それに、今日到着する街は俺にとって、シルクロードそのものみたいな街だから、うれしいよ。敦煌の遺跡が今回のシルクロードの旅のメインみたいなものだしさ。
夕方にやっと敦煌に到着。新しい町に着いてまず初めにしないとならないことは、宿探し。でも、敦煌は観光の町だから、すぐに見つかった。ラッキー!荷物を置いて街をぶらぶらしていたら、観光屋さんに客引きされた。客引きの話を聞いていると、敦煌にはメインの遺跡の莫煌窟「バッコウクツ」以外にも、有名な観光スポットがけっこうあるらしい。その遺跡たちを歩いて見にいくにはちょっと遠いらしい。観光屋さんのワゴンに乗って敦煌観光に行くことにする。

着いたその日であわただしいけど、早速、鳴沙山と言う所に行くことにした。俺のほかに中国人の家族も一緒のワゴン車で行く。お父さん、お母さん、中学生ぐらいの娘1人。の、三人家族。一人っ子政策をやってるから、きっと、娘1人なんだろうなぁ~。お父さん、お母さんは英語も日本語も出来ないけど、娘はちょっとだけ英語が出来るので、娘を通訳にして、家族とお話タイム。成都から、家族三人で観光に来ているんだと。今、中国では国内旅行が流行ってるらしい。鳴沙山では中国人の三人家族をたくさん見る事ができた。他に、いろんな人種の団体観光客もたくさんいる。そんな話をしているうちにワゴンは鳴沙山に着いた。俺はどこに行けばいいのか良く判らなかったけど、三人家族のお父さんにチケット売り場を教えてもらった。俺も、写真を撮ってあげたりする。
鳴沙山とは、一言で言ってしまえば大きな砂丘だ。鳥取砂丘なんかよりも、とてもデカイ!!砂丘を登って、テッペンまで行くのにも、けっこう時間が掛かった。テッペンから反対側を見渡してみると、まだまだずっと、砂丘が続いていた。フー、デカイね。綺麗な夕日が砂丘の中に沈んでいくのはステキだったよ。
砂丘の麓には三日月型の湖があって、それが、砂丘とマッチしていて、ステキだ。ラクダ屋さんや写真屋さんがたくさんいて、ちょっと油断すると、囲まれて、「ラクダに乗れ」「写真を撮れ」と、客引き攻撃が始まってしまう。俺はラクダには乗ってみたかったので、早速、値段交渉開始。ちょっと値引きに成功したので、ラクダに乗る。ラクダ初体験。ラクダの背中はとっても高い!眺めサイコー!ラクダ屋さんに写真も撮ってもらった。満足して、ワゴンのところに戻ってきたけど、まだ、三人家族が戻ってきてないみたいで、出発できない。辺りが暗くなってきた頃、三人家族が戻ってきた。遅いよーと、思いつつも、帰りの時間を決めてない、運転手もちょっとは悪い!などと思いつつも、街まで戻った。
夜、ホテルに戻ると俺の部屋に誰か人がいる。ドミトリーだから相部屋の人がいて当然なんだけど、初めてだったから、ちょっとビックリ。彼は小西(仮名)君という日本人。ニューヨーク在住の学生で、夏休みを利用して、中国旅行に来てると言う。小西(仮名)君は今、敦煌についたので、まだ、敦煌の事は何もわからないらしい。でも、「地球の歩き方」なる本を持っているので、敦煌の見所はチェック済みらしい。そのへんが俺と違う所。話をしているうちに、明日、いっしょに観光に行く事にした。こんな所で、日本人といっしょに観光に行くとは思いもよらなかったが、楽しい敦煌観光になりそうだ。
次の日、朝一番で小西(仮名)君と一緒にワゴンに乗って出発。昨日いっしょだった、三人家族も一緒。午前中にワゴンは莫煌窟に到着。三人家族は中国人用チケットで入場できるんだけど、俺と小西(仮名)君は外国人用のチケットを買わないとならない。しかも、ガイドをつけないと入れないらしいのだ。そんな訳で、ガイド料も含めてチケットを買う。そして、入場するんだけど、中国人の家族はさっさと入っていってしまう、中国では外人の俺と小西(仮名)君はなんだか良く判らないけど、入場ゲートで止められてしまった。20分ぐらい待ったけど、もうちょっと待っていろ、との事。しょうがないから待ってると、日本人観光客のおじさま、おばさま達がやって来てその人達と一緒にされて、やっと中に入れてもらえた。中国人の日本語が喋れるガイドが出てきて、30人ぐらいの我々日本人を引き連れて、莫煌窟観光スタート!!待たされていたのはそういう事だったのね。
最初に案内されたのは、暗い洞窟の中。ちょっと不安になってくる。ガイドの指示どうりに見上げると、デッカイ仏像!いや、スゴイのなんのって、ちょっとビックリ、大きさは奈良の大仏もビックリするぐらいだと思う。それが、洞窟の中にあるんだから、驚くでしょ。他にもシルクロードっぽい、仏教遺跡や壁画がズラー!シルクロード大満足!
莫煌窟のなかには更にお金を払わないと見れない、壁画とかがあった。まさにボッタクリ。中国政府のボッタクリ。政府がボッタクルなんて、腹立たしい。莫煌窟に満足していたので、俺と小西(仮名)君は有料の壁画を見ないで待っている事にした。他の人達は更に追加料金を払って中を見に行った。俺達の他にもう1組の夫婦が有料の壁画を見ないで待っていた。莫煌窟は中国を代表するような観光地なので、とても混んでいる。人、人、人。1人のガイドが20~30人のグループになって、莫煌窟の中をガイドの話を聞きながら、見て周ることになる。自分達のグループの前に他のグループがいると、そのグループが進むまで、待っていないとならない。そのぐらい混んでいる。俺のグループはみんな日本人で7,8名のツアーのグループが3組ぐらいと、個人旅行できている、夫婦が1組だったと思う。この夫婦と俺と小西(仮名)君はボッタクリの壁画とかを見なかったので、壁画の外で他の人達が見終わるのを待っていた。この夫婦は2人だけで中国に来ているとの事。この夫婦だけのためにガイドの中国人が一人ついていて、なかなかステキなツアーだ。俺小西(仮名)君とこの夫婦で話をしているうちに、壁画を見に行っていたグループが帰って来て、見学再会。俺と小西(仮名)君以外はみんなおじさま、おばさま達ばかりのグループで、莫煌窟観光の最後にはみんな仲良くなって、「これからの日本を背負う若者」と、言われて、いろんな国に行って、いろんな事を経験するんだよ。と言われた。
莫煌窟を見学し終わって、俺と小西(仮名)君はワゴンに戻る。中国人の三人家族は先に戻っていて、俺たちを待っていてくれた、遅くなって申し訳無い。その後、映画、「敦煌」のセットを見に行ったり、敦煌の古城を見学したり、白馬塔と言う、ところを見学したりして、街に戻ってきた。昨日よりも三人家族と仲良くなってきた。小西(仮名)君の英語はピカイチなので、娘サンとの英語での会話が昨日よりもスムーズだった。中国人家族とも仲良くなれたし、なかなかステキな観光になった。すべての観光は2時ぐらいに終了。この後、ホテルに戻って少し休んでから小西(仮名)君と一緒にバザールを見学に行く。さすが中国、いろんな物が売っている。小西(仮名)君と二人で歩いていると、さっき莫煌窟で一緒だった、夫婦とそのガイドに出会った。せっかくだから、みんなでバザールを一通り観光してきた。
いったんホテルに戻ってきて、小西(仮名)君は夕方から鳴沙山に行くので、俺はもう一度、バザールに行く。敦煌のバザールは活気があって歩くだけで楽しい。バザールの中をフラフラしている。ついでに哈密(ハミ)行きのバスのチケットも買ってしまうことにした。チケットを買ってから、フラフラしてると、さっきの夫婦にまた会った!1日に3回も会うなんてビックリ。話をしてると、昨日の鳴沙山でも、この夫婦に会っていたらしいのだ。なんだか縁があったのかもしれない。夫婦は明日、飛行機で移動するらしい。バザールの中をブラブラしながらいろいろお話した。
ホテルに戻って、のんびりしてると、小西(仮名)君が帰ってきた。2人で夕食に行く事にした。俺は中国の後パキスタンに行く予定だったから、その事を小西(仮名)君と話していると、パキスタンに行くためには「ビザ」なる物が必要らしいのだ。「ビザ」って、どこで取ればいいんだろう?小西(仮名)君の持ってるガイドブック「地球の歩き方」には北京で取れると書いてある。って、ここは敦煌。これから北京に行くのって、とても大変。でも、ひょっとするとパキスタンに一番近い街でビザが取れるかもしれない、との情報もあって、とりあえず、パキスタンに一番近い町、カシュガルに行ってみる事にした。でも、不安がいっぱいだ。もし、パキスタンに入れなかったら、その時点で俺のシルクロードの旅は終わってしまう。そうなったら、どうしよう、とりあえずカシュガルまでは行ってみる事にして、その後の事はカシュガルで考えることにした。
小西(仮名)君と夕食を食べて、飲んでホテルに戻ってきた。明日、小西(仮名)君はユックリ出発、俺は早く出発するので、早めに寝る。短い間だったけどの楽しい敦煌観光になった。