アラスカ紀行 2
現れないオーロラ
フェアバンクスに来たのですが、最大の目的のオーロラはそう簡単には現れてくれません。オーロラが見れるまでは帰ってこないと、固く誓ったので長くなってしまうと、航空券の期限である3ヶ月はアラスカにいることが出来ます。そんな訳で、いつ終わるかわからないアラスカ生活が始まりました。
オーロラは夜に出現するため、私の生活は、どんどん夜更しになっていき、朝、起きるのが遅くなってしまいます。起きてからも、フェアバンクスには観光するところもほとんどないので。私は宿の中でボケーと、何もしないで、2、3日過ごしていました。そんな私を見かねて、宿の女主人は心配してくれるのですが、私がフェアバンクスにやってきた目的はオーロラなのです。それ以外の観光などは、はっきり言ってどうでもいいのです。それを宿の人に言うと、理解してくれて早くオーロラを見れるといいね。と話してくれました。が、オーロラはなかなか現れてくれませんでした。
宿の主人はケリー(仮名)。とても親切なお婆さんです。しかし、なんでもパワフルにやってしまう、とても元気な女性です。この宿の経営は彼女が一人でやってるのですが、子供達(もう成人してる)や、孫もここの宿のプライベートエリアで生活してるため、お客は私一人だけど、たくさんの人間の出入りがあり、最初に感じたほど退屈しません。しかも、近くにケリー(仮名)の親戚も住んでるらしく、彼らもしょっちゅう遊びに来ます。ケリー(仮名)の話によると、夏になると、20~30人ぐらいの人が毎日泊まってるらしく、とても忙しいけど、活気があって楽しいのだそうだ。冬はほとんどお客さんがこないけど、私のようにオーロラを見るために来る人がたまにいるらしいです。それでも冬は淋しいらく。私も1人でなんだか淋しいです。
この宿は住宅街にあるためにダウンタウンに行くのにもバスを利用しなくてはいけません。ケリー(仮名)が暇だったら車で送ってくれる事もありますが、たいてい、バスでダウンタウンまで行きます。昼間、私があまりにも退屈してる様にみえたのか、犬ゾリやスノーモービルであそぶことも出来るよ。と、誘ってくれましたが、北海道人の私は子供のころに犬ゾリをやってるし、オーロラ以外にあまりお金を使ってると、お金が尽きて、オーロラを見る前に帰らなくてはいけなくなってしまうのが怖く、あまりお金を使わない様に心がけているので、それらの遊びは、お断りしました。
ケリー(仮名)にオーロラの事を尋ねてみようと思い、何処で出るのか、ここでも見れるのか、今日は見れるのか、明日はどうだ?などと聞いてみました。しかし、何処で見えるとか、いつ見えるとかなんて、彼女は知らないのです。アラスカに住んでる人にとってはオーロラなんてそんなに珍しいものではありません。はっきりいってオーロラなどに興味がないらしいのです。ケリー(仮名)が知ってた事はフェアバンクスなら、郊外に行かなくても、宿の近くで見る事が出来る。11時過ぎぐらいからよく出てる様だけど、その日によっていつ現れるかはわからない。と言うものでした。
昼間は暇なので、オーロラがよく見えるような、広くて、照明がないところを探して歩くようになりました。でも、昼間でも、マイナス30度以下の寒さなのです。外を歩くのは30分ぐらいが限界で宿に戻って暖かくします。
そんなこんなで、オーロラが見れないまま、1週間近くがたとうとしてました。
初オーロラ
なかなかオーロラに遭遇できません。夜になると、夜空のチェックをしている毎日です。そんななか、ケリー(仮名)の親戚でグレーシャーベイという所まで行く観光タクシーみたいな感じのお仕事をしている人がいて、彼の車で、グレーシャーベイに行かないか?と誘われました。色々迷いましたが、行く事に決めました。1泊2日のプチ旅行です。その時のお客は私一人だけでした。ちょっと寂しかったのですが、毎日オーロラを待っているだけなので、たまには、車の旅も悪くありません。運転手さんの名前はブライト(仮名)。たしか、ケリー(仮名)のいとこだと言ってたと思います。朝、まだ暗いうちから出発して、車に乗る事、10数時間。とても疲れたけど、アラスカの大自然を満喫。途中でカナダに入ってカナダ領のアラスカハイウェイをひた走ります。そのうち夜になってしまいました。が、まだグレーシャーベイには着きません。いつになったら着くの?と思ってるうちに、とても広い、何もない暗い道路の真中で、ブライト(仮名)が車を止めてライトを消しました。何だ?何だ?と、思っていると、ブライト(仮名)が空を見てみろといいます。言われるがままに、空を見上げると、なんと、そこにオーロラが!!
とても綺麗で感激。カーテンの様にユラユララァ~っと、ゆれています。言葉では表しきれないぐらい綺麗です。写真やビデオには入りきらない美しさでした。空のいたるところでオーロラが輝いて、そして、ゆれているのです。待ちに待ったオーロラをやっと見る事ができました。車の外に出て、オーロラに浸って感激していると、あっという間に凍えそうになるので、長い時間見る事が出来ず、車に戻りました。車はまた走り始めましたが、その間も、オーロラは私達の頭上を 気ままにユラユラしてます。やっと、目的地のグレーシャーベイに到着しました。時間は忘れてしまいましたが、かなり遅かったです。ブライト(仮名)がよく泊まるのホテルに一緒に泊まってすぐに寝ました。でも、私はなかなか寝つけなかったので、ちょっと外にお散歩に行きました。すると、また、オーロラが出ていました。近くに外灯が1個あってちょっと見にくかったのですが、やっぱりオーロラはとても綺麗でした。しかし、今は2月のアラスカ。外はとても寒いので、スキーウェアを着ていても、すぐに寒くなってしまいます。息が凍りつき、顔の周りが白くなっていきます。長い時間オーロラを見てるのはとても大変な事です。
次の日の朝、天気は快晴。アラスカに来てからほとんど、昼頃に起きていたので、晴た早朝はとても気持がいいです。今日は昨日きた道をひたすらフェアバンクスにむけて進みます。出発の前に、ここの港町で軽い朝食を取ることにしました。これまた、ブライト(仮名)の行き付けのレストランです。とても景色のいいレストランでした。このレストランでぐるりと辺りを見まわしてみると、この町自体がとても景色がいい事が分りました。とても奥まった湾に面していて、対岸にはいきなり山がそそり立っています。その山が、水面に映っていてとても綺麗な景色になっていました。海なのに、湾の奥の方なので波がないのです。感動でビックリしました。ちなみにこの町の名前は忘れてしまいました。
初オーロラ、グレーシャーベイのステキな景色。それに車で走ってるときに見た、大自然の景色も良いものでした。帰り道は予想通り、フェアバンクスはとても遠いです。フェアバンクスに到着したのは、夜もかなり遅かったです。ほとんど車に乗りっぱなしでした。