旅の終わりのエトセトラ

3月31日

とうとう最後のエジプト滞在日になっってしまった。明日の朝の飛行機に乗って日本に戻らなくてはならない。せっかくの最後の1日なので観光と買い物をする。カイロに来たのは3回目だし合計すると3ヶ月は滞在しているのだが、まだ見ていない観光地がたくさんある。今日はその中でシタデルと言うところに行く事にした。ガイドブックによるとモスクと軍事博物館が一緒になった場所らしい。1人で行くのも寂しいのでバックパッカー人生ゲームのバツゲームで螺旋階段を10往復した栗田(仮名)君と一緒に行く事にした。お昼前に宿を出発する。宿からシタデルまでは歩いて30分ぐらいで行く事ができる。ぶらぶらとカイロの町並みを見ながらシタデルまでのんびりと歩く。シタデルの近くにチャイ屋さんがあったのでそこでチャイを飲む。すると、どこからかエジプト人の親父がやってきて腕時計を売りつけようとする。俺はそんなものに興味は無いのだが、親父の持っていた時計の1つに栗田君が興味を示した。どうやら、この親父が持っている腕時計はかなりのレア物らしいのだ。栗田君があーでもないこーでもないと親父と話をしながら値段交渉をしている。30分ぐらいの押し問答の末に親父から時計を買った栗田君は大満足の様子だ。こんなところで掘り出し物に出会えたようだ。

昔は要塞として使われていたシタデルの入り口はかなり遠い。敵が侵入してくるのを防ぐために門までは坂道を登っていかなければならない構造になっている。敵も侵入するのは大変だったかもしれないが観光客も入り口に到着するのが大変だ。シタデルの門のところで入場料を払って入場する。シタデルの中は観光客がたくさんいて大盛況だ。まずはモハメドアリモスクに向った。モハメドアリモスクはシタデルの中でもかなり高い場所に位置しているので階段を登って上まで行く。モスクの前は広場になっていてカイロの市街地を一望する事ができた。市街地の奥のほうに3大ピラミットを見ることが出来る。かなり素晴らしい眺めに感激した。モハメドアリモスクは巨大なモスクで異教徒の我々も中に入ることが許されている。しばらくモスクでのんびりした後に軍事博物館に向う。イスラエルと戦った中東戦争の時に使った本物の大砲や鉄砲が展示してある。

シタデルはかなり大きな建物だったので見てまわるだけで疲れてしまった。なので帰りはバスに乗って帰ることにする。バス停まで行く途中で火薬玉みたいなものを売っていたので俺は思わず買ってしまった。2つの火薬玉をぶつけると大きな音が出るだけの玩具だ。エジプト人の子供たちが面白そうに遊んでいるので欲しくなってしまった。エジプトではかなり有名な玩具のようで、宿に戻ってから受付の兄ちゃんに火薬玉を貸すと手馴れた手つきで色々と音の鳴らし方を実演してくれた。

シタデルからの帰りのバスを捕まえるのにも苦労した。バスはたくさん走っているが、どのバスがどこに行くのかがいまいちよく判らない。我々の宿の近くの広場の名前を叫びながらバスを探す。バスを探しているうちにホコリっぽくなったと思ったら強風が吹き始めた。そう言えば丸川(仮名)の話ではまもなく砂嵐の季節になるのだそうだ。どうやら、今年最初の砂嵐が今から始まろうとしているみたいだ。宿の近くに行ってくれるバスをなんとか発見して素早く乗り込んだ。その間にも風はどんどん強くなっていき、宿に着くと同時に雨が降り始めた。本格的に砂嵐の季節が始まったみたいだ。砂嵐が皆既日食にぶつからなくて本当に良かった。これも俺が晴れ男だからであろう。

宿に戻ると、昨日アレキサンドリアで別れた2人がカイロに戻っていた。雑談をしたりシャワーを浴びてのんびりする。夕方、雨が小降りになってきたのでアモーレ隊のみんなで夕食に行く事にした。場所は人生ゲームの優勝祝賀会を開催した美味しいコシャリ屋さんに決定した。ちょうど夕食の時間帯だったせいもあって、店内はかなり混んでいる。それでも空きそうな席に狙いをつけながら空席が出来るのを待つ。待ち時間が20分ぐらいで席に着く事ができた。全員でコシャリを注文して、ガシガシと食べる。やっぱりこの店のコシャリは美味しい。みんな大満足である。

コシャリ屋の帰りに学校のクラスメートのお土産を買いに行く。貰っても困るものよりも食べ物の方が良いだろうと考えて一口チョコレートを買っていくことにした。なるべく包装紙にアラビア語の書いているものを選んだ。それからアイスを食べながらカイロの街をダラダラと歩いて宿に戻る。カイロの街もこれでしばらくは見納めである。砂嵐の季節の始まりを伝える湿気を大量に含んだ強い風が吹いている。

宿に戻るとアモーレ隊の隊員たちが出発の準備をしていた。今夜の夜行列車で南に向う人や夜行バスで北に向かう人などがいて、みんなそれぞれの旅に戻っていくのだ。アモーレ隊のみんなを送り出した後に俺と丸川さんだけが残った。そんな俺も明日の朝の飛行機で帰国する。一抹の寂しさを感じるが旅とは常にそういうものなのだろう。明日の飛行機は早いので寝坊してしないように今日は丸川さんの部屋で徹夜する事にした。

4月1日

6時前に荷造りを完了させて出発する。丸川さんが見送りに来てくれた。最後にターメイヤというエジプトのサンドイッチを丸川さんと2人で食べる。これでエジプトの食事も最後だ。丸川さんが空港まで行くタクシーを捕まえてくれ、値段交渉まで済ませてくれた。たくさんお世話になった丸川さんとお別れをしてタクシーに乗り込み空港に向った。空港までの道はかなり混んでいると思っていたが朝の道路はすいていた。思っていたよりもかなり早く空港に到着してしまう事になった。

昨夜や一睡もしていないので飛行機に乗るとすぐに睡魔に襲わた。それでも機内食の時間だけは起き上がって食べれる食事はキッチリと食べる。途中のトランジットの待ち時間を利用してほとんど書いていない日記を思い出しながら書いていくことにした。忘れてしまっている事がかなりあったがガイドブックを参照して思い出しながら書いていく。

4月2日

時差があるので俺の4月1日は数時間で終わってしまい、日本に帰国した時には4月2日になってしまっている。久々に戻ってきた北海道はすっかり春めいていた。家に帰り着いて一番最初にしたことはエジプトに持っていった物と着ている服を全部脱いで洗濯する事と風呂に入ることだった。大丈夫だとは思っているが南京虫やノミを持ち帰ってしまっては最悪なので念のためにやれることはやっておく。このような処置を施して皆既日食を見るエジプトの旅は無事に終了した。

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