出発までの経緯

事の発端

事の発端は３月１１日にネットサーフィンをしていて皆既日食のページを見つけてしまったことだ。そのページによると３月２９日に皆既日食が起こるというのである。観測ポイントとして条件の良い場所はトルコとエジプト。皆既日食は昔から見たいと思っていたので、試しに航空券の値段をネットで調べてみた。すると５万円台でエジプト往復のチケットが見つかり、トルコ往復も５万円台からあった。この金額であれば皆既日食を見に行くのは不可能ではない。更に俺の学校は３月１５日から４月３日までが春休みなので、行く気になれば春休み中に皆既日食を見に行く事は可能なのである。しかし、現実の学生生活を考えると春休み中に旅に出ることは難しい話である。それでも航空券の空席確認だけはしておく事にした。飛行機に空席がなけれはこの話はなかったことにしなければならないのだから。

３月１２日

エジプトもトルコも俺は行った事があるのでどちらに行くとしても不安はない。もし、本当に行くのであれば航空券の安い方に行こうと思っている。物価を考えるとエジプトの方が安いのでその辺も考慮に入れて行き先を検討する。どうせ行くなら学校が春休みになったとたんに出発して２週間ちょっとでも旅の雰囲気を味わってきたい。なので出発は出来るだけ早い方が良い。現在のところ俺の春休みの過ごしかたのプランは４つ。１つめはトルコに日食を見に行く。２つめはエジプトに日食を見に行く。３つめは日食は諦めて東京に遊びに行く。４つめはおとなしく札幌で引きこもり。現実的には３つめの東京ぐらいで落ち着いてしまいそうだが。

３月１３日

どうやら、安い航空券は軒並み満席のようだ。結局ＨＰに掲載されている格安の文字は客集めのためのものなのだろうか？確かに来週出発の航空券を求める俺がおかしいのだが。実際に空席がある航空券は１５万円ぐらいになってしまうみたいだ。困った。１５万円では高すぎる。非常に迷う。とりあえず、相撲を見て現実逃避して気持を整理する。

３月１４日

メールで航空会社とやり取りしていても時間がかかるので電話で直接聞いてみた。すると、７万円でエジプトまで行く航空券があるが成田発着らしい。札幌から成田までの往復航空券は安く見積もっても４万円はするだろう。今のこの時期で俺のこの状況であれば正規料金往復５万円以上になる可能性は大きい。数万円高くても札幌発着で探す方が賢明かもしれない。札幌の旅行代理店に電話すると大韓航空でＴＡＸ込みで１３万円ナリ。しかも出発日は１７日で帰国日が４月１日。値段は当初予定の倍以上になってしまったが、かなり理想的なチケットを見つけることができた。しかし、残り空席が少ないのと出発日が３日後と迫っているためにチケットを買うならば今日中に決断しなくてはならない。現在１５時。１７時過ぎには旅行代理店に回答しなくてはならない。
行きたい。高い。行きたい。高い。行きたい。高い。行きたい。
ギー。
グー。どうしよう。
部屋の中を歩き回ったり、独り言を言ったり、奇声をあげたり、のた打ち回りながら１時間半ほど悩み苦しみぬいた挙句、行ってしまう事に決定。旅行会社に電話してチケットを抑えてもらう。その際に反則ギリギリの必殺技で１２万円まで値引きすることに成功した。

３月１５日

いきなり出発２日前の朝を迎えてしまった。出発１０日前も１週間前も５日前も体験せずにいきなり出発２日前。ちょっと準備時間が足りない気がするがしょうがない。そんな訳で今日はやることがたくさんある。旅行代理店でチケット代を払って、そのままトラベラーズチェックを作り、家賃もちょっと早めに払ってしまう。海外旅行保険にも加入したいのでそれもついでに入ってしまう。結構な出費だ。帰ってきてから荷造りのための持ち物リストを製作する。荷造りなど、持って行くものさえ決まっていれば３０分足らずで出来てしまう。持っていくものと持っていかないものを分別する作業に膨大な時間がかかるのだ。

３月１６日

出発前日。今日は荷造りリストで足りないものを近くの１００円ショップに買いに行く。ついでに図書館で地球の何とかを借りてくる。せっかく図書館と言う公共の機関があるのだから有効に利用したいものだ。エジプトにいる古い友人の為に最新の週刊誌を何冊か購入し出発の準備を整える。忘れないように家に余っている食材を全部食べて２週間家を空けていても大丈夫な状態にしておく。２日もあれば旅の準備など出来てしまうものだ。明日の朝、いよいよ出発だ。

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