スイカ割りとカーニバル

2000年2月26日。飛行機を3回乗り継いでリオデジャネイロに到着した。すでにリオのカーニバルの1週間前である。もう、安いホテルは満杯になってしまっているかもしれない。不安を抱えながらサユリ(仮名)ちゃんと待ち合わせしているホテルに行く。すぐにホテルは見つかったし空室もたくさんあった。カーニバルの1週間前でもホテルはすぐに見つけることが出来た。

サユリちゃんと待ち合わせしているホテルには何人かの日本人がいた。彼らの目的もリオのカーニバルである。が、肝心のサユリちゃんがまだ到着してない。カーニバルまでの1週間は、とりあえずリオデジャネイロの観光でもすることにした。

同じホテルに泊っていた堀間(仮名)さんと一緒に海に行くことにした。ここの海は波がとても高くて面白かった。1日はあっという間に過ぎてしまった。

海に行く前に堀間さんが知っているインターネットカフェを教えてもらい、2人ともEメールをチェックしてから海水浴に行った。堀間さんもリオデジャネイロで友達と待ち合わせしているらしいので、友達とEメールで連絡を取り合っているのだ。俺もサユリ(仮名)ちゃんから、メールが来てるかどうかチェックしてみた。

数日後に堀間さんの友達の森川(仮名)君がやってきた。森川君の他にも後から友達が来るのだそうだ。みんなでアパートを借りて、1週間ぐらいそこで生活するというので堀間さんと森田君はホテルを出ていった。

コルコバードの丘にも行った。丘の頂上にキリストの像が立っている世界的に有名な丘である。頂上まではケーブルカーに乗っていく。そう云えば俺はケーブルカーに乗るのは初体験だった。ちょっぴり緊張している俺などお構いなしにケーブルカーはどんどん登っていき頂上に到着した。コルコバードの丘から見下ろす景色は素晴らしかった。丘の頂上にいるキリストも大きかった。

コルコバードの丘から帰ってくるとサユリ(仮名)ちゃんが到着していた。感動の再会である。サユリちゃんも俺の泊ってるホテルにチェックインしようとしたのだけれど、俺の泊ってるホテルはどう言う訳か男性専用で、女性は泊れないのだそうだ。しょうがないのでサユリちゃんが泊れるホテルを捜す。1時間ほど捜しただけでホテルはすぐに見つかった。リオのカーニバルの3日前の事である。リオのカーニバルの時期はどのホテルも満杯になってしまうので遅くても2週間前にはリオデジャネイロに行ってないと、泊る所も無いという情報はどうやらウソのようである。

カーニバルの踊りのチームは一軍から三軍まであるみたいだ。一軍はカーニバル専用の特設会場でパレードをするらしい。二軍と三軍は街の中心部の道路を通行止めにしてパレードするのだ。カーニバル初日は街の中心部まで行って、二軍と三軍のパレードを見ることにした。

俺とサユリ(仮名)ちゃんはリオデジャネイロで知り合った山本(仮名)さん、健士郎(仮名)さん、カナ(仮名)ちゃん、それにフランス人のピエール(仮名)と一緒にパレードを見に行った。途中で他の人達とも合流して、10人ぐらいの団体でパレードを見た。パレードは夕方から始まって夜通し踊りまくって朝方に終わるのだ。さすがに素晴らしかった。

次の日は一軍のパレードを見にいくことにした。今日も山本さん達と総勢6人で一緒に見に行った。会場までの移動は地下鉄を利用したのだけれども、地下鉄の中はパレード参加者が仮装したまま乗っていてカーニバルの雰囲気でいっぱいだった。会場に着いてからダフ屋を捜してチケットを手に入れる。我々6人はダフ屋からチケットを入手して、会場に入る事が出来た。一軍は1チームのパレードが終わるまでに2時間ぐらいかかるのだ。とても見応えがある。とても規模がでかくて、きらびやかだ。

1チームのパレードが終わるとパレード会場には大量のゴミが落ちているので次のパレードが始まる前に掃除をする。掃除をする人の中にダンスの上手な人がいた。彼は会場を掃除しながらステップを踏む。すると客席からから大きな拍手が沸き起こった。大歓声を受けた彼は気分が良くなって、掃除そっちのけで踊り出した。客席からは更に大きな拍手が沸き起こる。他の掃除する人は真面目に掃除をしてるのに、一人だけ掃除そっちのけで踊リ始めたのだ。しかし、彼を怒る人もいない。そう云うところがラテンな民族なのであろう。

会場の中で他の日本人達と合流したので、パレードが終わる頃には10人ぐらいのグループになっていた。途中で堀間(仮名)さんや森川(仮名)君たちに会ったけど、彼らも他の仲間と一緒だったので立ち話程度ですぐに別れた。我々は3チームのパレードを見て帰ることにした。最後は10人ぐらいの「一本締め」できっちり締めて帰ってきた。とても楽しかった。

次の日はカナ(仮名)ちゃんとフランス人のピエール(仮名)とサユリ(仮名)ちゃんと俺の4人でビーチの方に行った。こちらでもお祭りが開かれているらしいのだ。しかし、ここで開かれていたお祭はゲイのお祭りであった。好奇心旺盛なサユリちゃんとカナちゃんはゲイの群衆の中に入っていくのだけれども、俺とピエールは身の危険を感じてしまった。2人に付いて行くことが出来ない。ゲイの群衆はなんとも妖しげな熱気を放っている。

サユリちゃんとカナちゃんはゲイのお祭りをもうちょっと楽しみたかったみたいだけど、俺とピエールが強硬にビーチ沿いを離れることを主張したので、街の中心部に移動して普通のお祭りに参加した。俺とピエールはもう2度とゲイのお祭りには行かないことを心に誓った。

カーニバルが始まるのは夜である。昼間は特に何もすることが無いのだ。せっかく太陽と海があるのだから、昼間は海水浴に行くことにした。更に、せっかく海水浴に行くのだから、みんなでスイカ割りをすることになった。用意するものはスイカと捧と目隠しだ。スイカはちょっと長細いけど果物屋で見つけることが出来た。棒は山本(仮名)さんがどこからか見つけてきてくれた。目隠しはタオルかなにかで代用すれば良い。

スイカ割りの準備を万全に整えて海水浴場に到着。いきなりスイカ割りをするのももったいなかったので、まずは海で波と戯れることにした。みんなで波と戯れているうちにあっという間に時間が過ぎてしまった。早くしないと日が暮れてしまうので慌ててスイカ割りを開始する。

じゃんけんで順番を決める。最初の人に目隠しを付けてグルグル回す。そしてスイカ割りスタート。「右ー!」「左ー!」「もっと前ー!」等の叫び声を聞きながら、スイカに近づいて行って捧を振り下ろす。しかしハズレ。二人目、三人目と順番にスイカ割りに挑戦するがなかなかスイカを割ることが出来ない。俺もスイカを割ることが出来なかった。なかなかスイカを割る事が出来ない。我々は8人でスイカ割りに挑戦してるのに2周目の順番が終わってもスイカを割ることが出来なかった。

その頃になると、我々の周りにいた現地人も我々が何をやっているのかが、理解できた様である。しかも、興味シンシンでこちらを見ている。スイカ割りをしたそうな現地人のレディを引っ張り出して飛び入り参加させた。目隠しをして、ぐるぐる回して、棒を持たせてスタートさせる。そのレディの友達がポルトガル語で彼女をサポート。彼女はスイカに近づいていき、そこで捧を振り下ろす。しかしハズレ。挑戦してくれたレディもその友達も我々もゲラゲラ笑うことが出来た。他にも何人かスイカ割りに挑戦してくれた。そして、最後にスイカを割ったのは飛び入り参加の酔っ払いの親父だった。

実は、我々はスイカを2玉も買ってしまっていたのだ。スイカ2玉を8人で全部食べてしまうにはスイカの量は多すぎた。そこで、スイカ割りに参加してくれた人達や我々のスイカ割りを見ていた人にスイカを分けてあげる事にした。現地人にしてみたら、サムライの国の人達が海岸にやって来て、なにやら怪しげな事をしたあげく、スイカを振舞っているのだ。何がどうなっているのか解らなかっただろう。

周りの人達にスイカを振舞っても、まだスイカが余っていた。しょうがないので8人でスイカの早食い大会をする。昔、ドリフターズの志村ケンがスイカの早食いをやっていたのを思い出した。みんな、俺と同じような世代である。スイカの早食い大会を「志村ケン大会」と名づけて楽しんだ。大盛り上がりだった。

実はリオデジャネイロで面白い再会をした。俺がエジプトにいる時、サファリホテルの隣のホテルに健士郎(仮名)さんが泊っていたのだ。俺がケニア行きの飛行機のチケットを予約しに行く時に健士郎さんは日本に帰る飛行機の予約をしていて、そこで知り合ったのだ。そんな2人がリオデジャネイロで再会したのだ。2人はエジプトから地球の反対側を周ってリオデジャネイロにやってきたのである。こんな再会もあるのだなと、お互いにビックリした。サユリ(仮名)ちゃんや山本(仮名)さんもその話をきいてビックリしていた。

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