アラスカ紀行 4

北極圏到達

アラスカ鉄道は最初ゆっくりと、早朝のフェアバンクスの町の中を抜けていきました。郊外に出ると、スピードを早めて走り出します。客車は2両で、乗っている乗客はたぶんみんな観光客でしょう。大きな荷物を抱えてます。途中で車掌さんがいろいろ説明してくれたり、動物が現れたら、みんなが観察しやすい様に列車を止めてくれたりします。他にもアラスカの大自然の中を進んで行く列車はとてもステキな景色を見せてくれました。

お客さんの中に、一人の日本人の女の子がいました。彼女もアラスカにオーロラを見に来たのだけれど、大きなオーロラを見る事が出来なく、残念ながら、時間がなくて帰ってしまうということでした。フェアバンクスより確率は少なくなるけど、アンカレッジだって、見る事が出来るから、彼女はアンカレッジに最後の望みを託しています。そんな話をしてるうちに、実は彼女もケリー(仮名)の宿に泊まっていたということが判明しました。そんな共通点があり、仲良くなりました。

ステキなアラスカ鉄道の旅が終わって、アンカレッジについたのはもう、あたりが暗くなってからでした。今日のホテルをどうしようかと思ってたら、その彼女はユースホステルを知ってるというので、私もそこに行く事にしました。そして、チェックインの後に二人で飲みに行きました。いろいろ話をしてると、この後、彼女はオーロラをみるためにレンタカーを借りて、もう一度フェアバンクスに戻りたいけど、お金がかかるし…。と、迷っています。私はレンタカーがあれば北極圏まで行けるかもしれないと思いました。二人の利害が一致して、二人で、車を借りてフェアバンクスに戻ってそこから北極圏まで行く事になりました。二人とも、飛行機の時間まであと、2、3日しかないので、大まかな計画を立てて、二人の飛行機に間に合う様に計画をたてて、行ってみる事にしました。

北極圏に行く事なんて無理だと思ってたのに、道が開けてきました。諦めないでチャンスを待っていればいつかは目的達成できるもんだと、思いました。そんな訳で次の日の朝、フェアバンクスから北極圏へ向けての、レンタカーの旅がはじまりました。二人でいろいろ話し合い、ルートを決めて必要なものを買い揃え、アンカレッジを出発しました。途中で、マッキンリー山がとてもよく見える所があるというので、すこし寄り道をして行きました。やっぱりマッキンリーは素晴らしかったです。そんななか途中で車がバンクしてしまいました。タイヤを交換したりして時間がかかってしまいましたが、なんとかフェアバンクスに到着しました。フェアバンクスにあるレンタカー会社といろいろ話し合ったりしなくてはならなく、時間をかなりロスしてしまいました。

ケリー(仮名)の所に、二人で挨拶に行ったり、コウタロウ(仮名)さんやヨーイチ(仮名)さんやミツ子(仮名)さんに北極圏に行く情報をもらったり、寝袋借りたり、最後にまたお世話になりました。フェアバンクスから北の道はどうなってるか分らないという事なので、行ける所まで行って、無理と判断したら、北極圏にいけなくても帰ってこようという事にして北極圏に向けて出発しました。

フェアバンクスを夜中に出発して、北極圏へ向けて進みました。フェアバンクスの郊外を抜けると、もう何も無い自然の中をただ走っていきます。あたりは真っ暗です。車を走らせているうちに、オーロラが現れました。けっこう大規模なオーロラで、夜空一面オーロラになりました。彼女はこんなにスゴイ、オーロラは始めてだったのでとても感激しています。私もアラスカにいる間にたくさんのオーロラを見たけども、今回のオーロラはそのなかでもとても大きなものでした。車を止めて長い間、二人でオーロラを見ていました。

そして、また、車を走らせます。深夜、遅くなって運転疲れのため途中で車の中で仮眠を取る事にしました。そして、朝明るくなったら出発です。次の日もひたすら走ります。途中で、雪原のなかの一本道を走っていったのですが、風が強くて、粉雪が道路の上を見渡す限り舞って、とても神秘的な所を通って行きました。人間の侵入を許さない、神の領域に入っていくようで感激しました。きっと、このぶんだと北極圏はもっとスゴイのかもしれないと思いながら、運転していました。

午後2時ぐらいにとうとう北極圏の看板が見えてきました。神秘的な所だと思ってたけど、とてもフツーな所でした。看板がなかったら判らないようなところでした。ちょっと車を止めるスペースがあって、看板の前で記念撮影。北極の雪を食べたりしました。きっとみんな同じ事をしてるんだろうなぁ~。と、思いながらも食べてしまいました。看板があるだけで、予想よりも、たいした所でなかったけど、これでまがいなりにも北極に行った事になるな。と思いました。無理だと思っていた北極圏到達ができて私は満足でした。

旅の終わりに

帰りの時間を逆算すると、フェアバンクスには夜の7時か8時ごろの到着になりそうでした。フェアバンクスに着いたら、二人とも疲れていたので、素泊まりのホテルに入って、レストランに食事に行きました。明日中にアンカレッジに帰らないとならないので、今日はゆっくりと休みました。次の日は同じ道をアンカレッジに帰るよりは違う道を通って帰ろう、という事にして、ちょっと遠回りをしてアンカレッジに行きました。途中で湖を見たり、氷河に寄ったりしながら、アンカレッジに向いました。特に氷河は管理人のオジさんがいて、彼に案内をしてもらえたので、氷河に上ることもできて、感激でした。

観光しながらも、その日の夜にアンカレッジに到着しました。私は飛行機の時間が迫ってたので、空港まで送ってもらい、彼女と別れました。彼女は明日の飛行機で今度はアメリカ本土に行くそうです。長かった私のアラスカの旅もこれでおしまいです。たくさんの親切な人達に会えて、オーロラもたくさん見る事ができ、最後に北極にも行く事ができて、大満足の旅行になりました。

最後のUSドルをアンカレッジの空港で使い果たして一銭のお金も無くなって飛行機に乗り札幌に向いました。ソウルでのトランジットの後にすぐに札幌に到着しました。久々の札幌は春の気配が漂ってました。

帰って来てから、さっそく、この旅行に行く前に調べたアラスカの本をもう一度ちゃんと読みなおしてみる事にしました。図書館でちゃんと調べてみると、私が読んで参考にしていた本の作者はアオソフ先生(仮名)ではありませんでした。ちょっとショックを受けましたが、今度はアオソフ先生(仮名)の書いた本を探してもらって、読んでみる事にしました。オーロラの事に関して科学的な事が詳細にわかりやすく書いてあって、私もオーロラに詳しくなり、これまでにも増して興味が出てきました。そして、1ヶ月半に及ぶアラスカ旅行が出来た事で一人旅に対する自信がついてしまいました。

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