京都冬旅行

2008年12月27日~29日に行ってきた冬の京都旅行の記憶。

年末の忙しい時期だというのに連休を貰えたので京都に行く事にした。京都には魅力的な神社やお寺がたくさんあり、歴史を感じる事が出来る、俺の好きな街のひとつだ。何度訪れても楽しむ事が出来る。今回の俺に与えられた休みは少なかったので、京都のいろんなところを見てまわる事は無理だった。なので、今回の京都旅行は見物場所を少なくして、一箇所をのんびりと見てまわるスタイルに決めた。

12月27日の夜行バスで東京を出発して、京都駅に到着したのは28日の朝7時だった。多少の疲れはあるがせっかくの京都観光なのだから、初日の朝から気合を入れて観光を開始する。

今回の京都観光で最初に目指した場所は伏見稲荷神社だ。伏見稲荷の紅い鳥居が並んでいる風景を一度は見てみたいと思っていたのだけれども、今まで伏見稲荷に行く機会に恵まれなかった。なので今回は一番最初に一番の期待している場所から観光する事に決定した。

伏見稲荷というぐらいなので、門の前にはお稲荷様が左右に並んで鎮座している。朝のすがすがしい空気の中で、数少ない参拝客の往来を見下ろしている。

朝の伏見稲荷は空気が冷やりとしていて気持ち良い。参拝客も少ないのですがすがしい気持ちになる。自分が通ってきた参道を振り返ってみると、上から鳥居を見下ろす様に眺める事が出来た。

門の向こうの境内では、参拝客の少ない朝のうちに境内を綺麗に掃き清めているようだ。普段だったらあまり見ることの出来ない神社の生活を見る事が出来たようで嬉しい。こんな風に1日が始まる生活も悪くないなと思ってしまう。

毎日繰り返されている生活の風景というのはなんとも言えない味わいがある。神社の生活を垣間見る機会は少ない俺にはなおさらだ。人の生活の営みというのは形を変えながらも昔から続いていて、これからも続いていくのだなと思う。もちろん形は変わっていくだろうけど。

こんな風景を見る事が出来たのだから、朝のうちに伏見稲荷に来る事ができてよかったなと思う。

伏見稲荷の本殿を抜けていくと、ようやく俺が目当てにしていた紅い鳥居にたどり着いた。今回はこの鳥居が並んでいる様子を見たくて京都まで来たといっても過言ではない。自然とテンションが高くなる。思わず写真をたくさん撮ってしまった。テレビや写真で見るよりも実際に生で見る方が迫力があって素晴らしい。

写真を撮りつつ、紅い鳥居に魅せられつつ歩いていくと、鳥居の密度が一気に高くなった。なんだか、紅い空間に引き込まれたような感覚を受ける。これだけ紅い空間に入ると神聖な気持ちになる。

鳥居に囲まれた参道は短いのだろうと思っていたが、俺の予想以上に奥まで続いている。場所によって鳥居の形や大きさに違いがあるが紅い鳥居の参道である事には間違いない。高くなったテンションを抑えながら、更に奥を目指して紅い鳥居の中を歩く。

奥まで進んでくると鳥居の数が少なくなってきた。それでも鳥居は無くならないので、さらに歩いて奥に進む。ここまで来ると伏見稲荷からはかなり遠ざかってしまったようだ。ちょっと不安もあるがとりあえずは行けるところまで歩いてみる。

しばらく鳥居の道を歩いていると、途中で朝のウォーキングをしている人達とすれ違う。そのうちに上り坂になってきた。途中では京都市内を見渡せる場所もある。最終的に鳥居の道は終ってしまったようだ。途中で見つけた看板を見ると伏見稲荷からは外れてしまったらしい。更に先の方には東福寺というお寺があるみたいなので、そちらを目指して進む事にした。

東福寺に向かって竹林の小道を歩く。そのうちに住宅街に出てしまった。ちょっと迷子になってしまい、現在地が判らなくなってしまった。仕方がないので東福寺は諦めて、なんとなく駅のほうに進んで行く事にした。

しかし、駅を目指して住宅街を歩いている途中に偶然にも東福寺を見つけた。諦めていたのだけれどもたどり着く事が出来てとても良かった。せっかく辿り着いたので、見学していく事にした。

東福寺の本堂には入る事が出来なさそうだったので、外側から写真だけを撮ってみる。フラッシュ無しで写したのだけれども思ったよりも綺麗に写真を撮ることができた。

朝から活動していたせいか、東福寺をじっくりと見学するだけの元気がなくなってしまった。仕方がないので簡単に写真だけを撮って東福寺の見学は終了した。疲れている時に無理をしても良い思い出になる事は少ないだろうから。

東福寺から駅に向かう途中で猫が座ってこちらを見ていた。ぜんぜん動かないで綺麗に座ってこちらを見ている。そんな猫に歩き疲れた身体と心を癒してもらう。

伏見稲荷と東福寺の観光をした後は京都駅に戻ってきた。京都駅には近代的で芸術的な駅ビルが建っていた。驚きつつも下から眺めてしまう。京都の空が駅ビルのガラスに映っている。近代建築が天気や空の一部になっているように見える。天気は晴れているので気持ち良いのだけれども、12月の京都はちょっと肌寒い。

外観も素敵だったが京都駅ビルの内部も芸術的な空間を演出している。芸術を磨き上げると実用的な機能は低下してしまうので無駄な空間が多くなってしまう事は仕方がないのだろう。それでも、空間のレイアウトの美しさに圧倒されてしまうのだから、凄いなと思う。

近代的な京都駅のビルを観光した後は、ちょっと早いが今日の観光は終了する。そして、明日の観光に備えてゆっくりと休むことにした。

12月29日はお昼前から清水寺に繰り出した。清水寺はたくさんの人で賑わっている。王道の観光ルートになっているのだろう。人が少なかった昨日の伏見稲荷とは雰囲気が違う。参道には土産物屋や八橋屋や甘味処が軒を連ねている。そんな土産物屋や甘味処の誘惑に誘われながらも仁王門までたどり着く事が出来た。

仁王門を抜けて奥にいくと三重の塔が建っている。京都には塔がたくさん建っているなと改めて感心してしまう。清水の舞台はそんな塔の更に奥にある。途中のチケット売り場はたくさんの人が並んでいた。

年末だというのにこれだけの人で賑わっているのだから、京都は人気のある観光地なのだと改めて実感してしまう。

清水の舞台もとてもたくさんの人で賑わっていた。今年の漢字の変も舞台の上に展示されていた。観光客で賑わう舞台の上をいろいろと見学しているうちに柱の刻印を見つける事ができた。こんなところにまで清水寺の刻印がある事を見つけれたので、なんとなく嬉しくなってしまった。

舞台の本堂の内部は観光客は立ち入り禁止となっているようだ。本堂の中ではお払いなどをしている様子だった。神主さんや巫女さんが働いているのだろけど、チラッとしか見る事が出来なかった。

清水寺の裏に、更に奥に続く石段があったので登ってみる事にした。そこには恋愛成就の地主神社というのがあった。ここも清水の舞台と同じぐらいに賑わっており、かわいい絵馬やお守りが売られていた。

地主神社は高い所にあるので、壁の向こうの景色を眺めたいなと思い隅の方まで行ってみると、予想通りに良い眺めだった。三重の塔や清水寺を珍しい角度から見下ろす事が出来る。

観光ルートに沿って歩いていくと清水の舞台を見渡せる場所に来た。ここは写真のスポットになっているようでたくさんの人が写真を撮っている。やっぱり写真のポイントからの眺めは美しい。舞台の上はまだまだ観光客で賑わっている。きっと俺が舞台の上にいるときにも誰かに写真を撮られていたのだろう。

もう少し歩くと、清水の舞台と三重の塔が重なって見える場所があった。今日も天気が良いし、綺麗な空の下に舞台と塔が素敵に映っている。

清水寺の後は三寧坂を通り坂本竜馬の墓を見に行くことにした。三寧坂の途中のうどん屋で京うどんを食べたり、団子をつまんだりしながらのんびりと歩く。三寧坂はたくさんの観光客で賑わっているが、ちょっと横道に入ると生活空間が広がっていた。

三寧坂を進んでいくと維新の道に出る事が出来た。せっかくなので坂本竜馬の墓を見ていく事に決めた。

維新の道を登っていくと霊山護国神社があり、竜馬の墓はその神社にある。墓は京都市内を一望できる高い位置にあった。竜馬の墓に行く途中の霊山護国神社からは京都市内を見渡せるポイントが何箇所かあって、気持ちよい眺めを見る事が出来た。京都を一望できる場所を墓に選ぶなんて、素敵な事かもしれないと思った。

見晴らしの良い場所に坂本竜馬と中岡新太郎の碑が建っていた。碑の奥には他にも明治維新で死んでいった志士達の墓が並んでいた。日本の文明開化を夢見て死んでいった坂本竜馬は京都市内を眺めることの出来るこの場所に葬られて、いったい何を感じているのだろうかと想像してしまう。

坂本竜馬の墓参りをした後は麓にある博物館を見ようとしていたのだが、残念ながら休館日だった。仕方がないので気分を変えて高台寺に行くことにした。

ここは秀吉の妻の寧々が葬られているお寺だ。庭が綺麗に整備されている。夕日の優しい光が庭に注いでいるせいか、なんともいえない味わいを出している。お寺の本殿では秀吉や寧々が愛用していた品々を展示していた。そして普段は見ることの出来ない竜の天井画も特別展示中で見る事が出来たので十分に満足できた。

高台寺の次は八坂神社に向かった。八坂神社までの道のりは石畳になっていて古都散策の雰囲気を盛り上げてくれる。しかも人力車が街の中を走っているので雰囲気は更に盛り上がる。

今回の京都観光の最後は八坂神社になりそうだ。新幹線の時間には余裕を持って京都駅に戻ろうとすると八坂神社を観光してから京都駅に戻った方が良さそうだ。八坂神社では巨大な石の鳥居がお出迎えをしてくれた。

12月29日の夕方の八坂神社は初詣の準備が整いつつある様子だった。元旦の夜にはとうもろこしやソーセージが寒く凍えそうな初詣客の身体を温めるのだろう。初詣客を迎える方は数日前から準備万端にして元旦に勝負を挑むのだろう。

珍しい風景を見る事が出来てちょっと嬉しい。年末ギリギリのこの時期に神社に来なければ見ることの出来ない風景だ。

八坂神社の正面は京都の街が広がっていた。八坂神社を後にして京都駅に向かう。

暗くなった京都駅は日中とは違った雰囲気だ。新幹線の時間よりもちょっと早めに京都駅に戻ってきた。新幹線の時間までに病棟へのお土産のお菓子を選ぶ。しばらく京都駅でお土産を物色したり買い物をしているうちに新幹線の時間が近づいてきた。楽しかった京都観光は新幹線の出発と共に幕を閉じた。

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