伊豆合宿

2008年12月19日~21日に行ってきた伊豆の麻雀合宿の記憶。

夜勤明けで昼前に仕事を終えて部屋に戻ってきた。シャワーを軽く浴びて、寝袋などをカバンにつめて新宿に向けて出発する。今日はこれから2泊3日の麻雀合宿に参加するのだ。2時に新宿を出発して小田急線で小田原に向かう予定だったが、結局、小田原に向けて新宿を出発したのは3時だった。ラテンタイムでの生活が身体に染み付いてしまっている人達が今回の伊豆合宿のメンバーなのだから、時間通りに物事が進んでいくはずがないのだ。

俺が長期の旅をしている時に知り合ったユーユーさん(仮名)が6年ぶりに日本に帰国した事から、今回の麻雀合宿の計画が持ち上がった。ユーユーさんとはカイロでもブエノスアイレスでも一緒に麻雀をしたり、どっぷりと沈没して堕落した海外生活を一緒にやっていた旅の仲間だ。今回はユーユーさんが旅先で一緒に生活していた友達が伊豆で漁師をしているというので、彼を訪ねて伊豆に行く事になったのだ。

もう1人のメンバーは俺と一緒に南極に行ったよっちゃん(仮名)だ。よっちゃんもユーユーさんと一緒にブエノスアイレスで麻雀をしながら沈没を楽しんでいた旅の友達だ。よっちゃんとは帰国してからも上野や秋葉原で何度か麻雀を楽しんでいる。世界を一緒に回った友達と日本を旅するのもなんだかちょっと不思議な感じがする。

金曜日の昼過ぎの小田急線は思っていたよりも空いていたので、始発の新宿から座ることが出来た。

新宿を離れていくにしたがって車内の乗客たちが少なくなっていく。西日を受けならが我々を運んでいた小田急電車が小田原に到着する頃には、冬の太陽が沈んだ後だった。

本来であれば伊豆に行く途中の小田原で小田原城などを観光する予定だったが、時間が遅くなってしまったので駅の周辺を歩いて観光は終了した。小田原駅前は綺麗にライトアップされていた。駅の近くを散策したが、すっかり暗くなっていたので我々のような観光客が喜びそうな場所はほとんど終了していた。

小田原での観光はほとんど何もしていないが、駅前からライトアップされている小田原城だけはかろうじてを見る事が出来た。

駅から見える小田原城の前にはレイクの看板があったが、その看板もライトアップの一部とみなす事でそれほど気にならなくなってしまったのは不思議だ。

綺麗にライトアップされた小田原城を遠くから見て、小田原観光を終了した。事前に調べていた三島行きのJRの時間が迫っていたので小田原駅に戻ってJRに乗り三島に向かった。

三島からは伊豆箱根鉄道に乗り換えて修繕寺までいく。三島での乗り換え時間は数分しかないので三島観光をすることは難しかったので駅前だけを見て、三島観光をした事にする。

伊豆箱根鉄道の改札はJRの改札の隣にあったので、すぐに乗り換えた。ホームには出発間際の列車が停車していたので慌しくその列車に乗り込んだ。

伊豆箱根鉄道の車内は家に帰る学生や社会人の姿が多かった。伊豆箱根鉄道は観光列車のようなイメージがあったが、実際には生活の足になっているようだ。その中で我々3人だけは観光気分を楽しみながら修善寺まで向かった。

修善寺に到着すると松崎町から軽トラで漁師のボン君(仮名)が迎えに来てくれていた。ユーユーさんとボン君は久しぶりの再会を喜んでいた。俺とよっちゃんは初めて会うので、ご厄介になる挨拶をして軽トラに乗った。

修善寺から松崎町までは車で1時間ぐらいの距離だ。松崎に行く途中の土肥で花時計をみる。世界一大きな花時計らしくギネスブックにも登録されているようだ。時計の周りは花壇になっていて、時計の周囲は綺麗にライトアップされていたが、観光客は我々だけで無人だった。

花時計は巨大な針を持っていて正確に時間を刻んでいので、秒針はかなり早く動いている。近くで見ると秒針のスピードに驚いてしまう。その秒針のスピード感が面白そうだったので誰もいない花時計で秒針と戯れて遊んでみた。

ボン君の家に到着してからは麻雀合宿のために部屋を片付けて準備を始める。みんなで作業をするとあっという間に麻雀の準備が整った。ボン君の家には焼酎や日本酒が沢山あったので、それで乾杯をして麻雀合宿を開催する。ユーユーさんがお土産に南米のお菓子を沢山持ってきてくれていた。懐かしい南米の味を堪能しながら、思う存分麻雀を楽しんだ。もちろん徹夜での麻雀だ。朝の8時ぐらいでユーユーさんの体力が限界に達してしまったため、初日の合宿が終了した。

合宿2日目は午後1時ぐらいから行動を開始した。せっかく伊豆に観光に来ているのだから、近くの山に登って富士山を眺めようという計画がユーユーさん(仮名)によって立案された。

山登りの嫌いなよっちゃん(仮名)はボン君(仮名)の家で留守番をしているというので留守番をお願いする。

頂上から綺麗に富士山を見ることが出来るポイントをユーユーさんが調べてきたので、ユーユーさんとボン君と俺の3人で目的地に向かって車で移動する。今日は綺麗に晴れているので気持ちよい。車で移動している途中でも海の向こう側に富士山が見える。

ユーユーさんが調べてきてくれた山は高通山というそれほど標高の高くない山だ。1時間ぐらいで登れてしまうお手軽な山だが、頂上からの富士山の眺めは期待できそうだ。 車で登山道の入り口まで行って、準備体操だけはしっかりとやってから登り始める。久しぶりの森の中は気持ちが良い。森の空気の中に入ると、どうしてこんなに気持ちよいのだろうかと思ってしまう。森の空気を楽しみながら登山道を登っていく。

5分ぐらいの休憩を何度も取りながらゆっくりと登っていく。休憩の間にユーユーさんが雑学をいろいろと話してくれた。ペルーのマチュピチュでガイドをやっているだけあって、ユーユーさんの説明にはなんとなく聞き入ってしまう。

高通山は登り始めてから1時間ぐらいで山頂に到着する事が出来た。山頂からは綺麗に富士山を見る事が出来て、登ってきた疲れが一瞬で吹き飛んでしまう。

富士山以外にも日本アルプスの山々の稜線を見渡すことが出来た。富士山や日本アルプスの山を眺めながら、ユーユーさんが持ってきてくれたお菓子をつまむ。見れば見るほど富士山は大きな山だという事が実感できる。富士山はいつまで見ていても飽きないから不思議だ。

ここから見える入り江にボン君の漁場があるのだそうだ。漁場には網が仕掛けてあり、その網を引き上げに毎朝、船に乗って漁に行くのだそうだ。思っていたよりも漁場は港の近くにあるみたいだ。

高通山からは伊豆半島の全貌を見渡すことが出来た。富士山とは反対側の景色を眺めると眼下に南伊豆の入り江を眺めることが出来た。西伊豆の入り江に西日が差し込んで、山の陰の部分と日が差している部分のコントラストが美しい。

3人で話をしたりお菓子を食べたりしながら、高通山の山頂からの眺めを満喫しているうちに、思っていた以上に時間が過ぎてしまっていた。

ふと、気が付くと太陽が西の海に沈もうとしている。あと1時間ぐらいで沈んでしまいそうな太陽が真っ赤に輝いている。夕日をのんびりと見る事など最近はしていなかったので、高通山から見る夕日に心を奪われてしまった。

冬は空気が澄んでいるので夕日が美しく見えるのだろう。思っていた以上に山頂の眺めを楽しんでいたようだ。気が付くと思っていた以上に時間が過ぎてしまっていた。

太陽が沈む前に露天の温泉に行く予定なので、夕日が沈んでしまう前に下山する事にした。ひざを痛めないように気をつけながらも、ちょっと急ぎながら下山する。車に戻ると太陽はかなり傾いてきていた。天気がよいので車窓からの夕日が美しい。

ちょっと急ぎながら車を走らせて、ボン君の家で待っているよっちゃんをピックアップして温泉に向かった。温泉は気持ち良かったが、温泉から夕日が沈むところは見る事が出来なかった。夕日の変わりに、西伊豆の可愛らしい夜景と星を眺めながら露天風呂で温まった。

温泉のあとは今日の夕食の買出しにスーパーに向かった。今日の夕食はユーユーさん特製のカレーに決定した。材料をみんなで選びながらビールやお菓子もたくさん買ってボン君の家に戻った。さっそく、ユーユーさん主導でカレー作りに取りかかる。ボン君の家の台所は思っていた以上に広いのでみんなで手分けをしながら、それぞれの得意分野でユーユーさんに協力する。

今日の夜から麻雀合宿に参戦する提督(仮名)が名古屋から来るのでボン君とよっちゃんがバスターミナルまで迎えに行ってくれた。提督もよっちゃんやユーユーさんと一緒にブエノスアイレスで麻雀を打っていた旅の友達だ。わざわざ、麻雀をするためだけに名古屋から新幹線で西伊豆まで来てくれたのだ。

提督のフットワークの軽さには驚かされてしまう。

提督がボン君の家に到着した頃にユーユーさん特製のカレーが出来上がった。ご飯はもう少しで炊き上がりそうだ。ご飯が出来るまではみんなで話をしながら、お菓子をつまむ事にした。ご飯が炊き上がるのを待っている間にボン君の近所の友達が差し入れに天ぷらを持って遊びに来てくれた。更にもう1人、2人と近所の人がやってきて、ボン君の家はとても賑やかになった。

ご飯が炊き上がり、みんなでカレーや天ぷらを食べながら楽しく賑やかな夕食をたべた。なんとなく旅の安宿でみんなでシェア飯を楽しむ雰囲気に似ていた。みんなで食べる食事はとても美味しく会話も弾む。

食事が一段落して、みんなのお腹が十分に満たされて少し落ち着いてから、本日の麻雀合宿が開始となった。今日はギャラリーや雀士がたくさんいるので、みんなで交代で麻雀を楽しむ。ゲストの提督は最初から連続参加で楽しんでもらう。麻雀で盛り上がりながらも、いろんな話をしているうちに時間が過ぎていった。夜が遅くなるにつれて、明日も仕事のある近所の人達は帰っていった。

ボン君も明日の朝5時から漁があるという事だったので、適度な時間に寝てもらった。最後は俺とユーユーさんと提督とやっちゃんで朝まで麻雀を楽しんだ。5時にボン君が漁に行くので見送りをする。それ以外はほとんどノンストップで麻雀を打ち続ける。ボン君が漁に出発したぐらいからユーユーさんの体力が限界に達してきたらしい。朝の7時に1時間だけ仮眠をするつもりで休憩を取ったら、そのまま昼間で寝てしまったため、麻雀合宿は終了した。

最終日も昼過ぎから行動開始となった。昼前にはボン君が漁から戻ってきたので、みんなでボン君が乗っている船を見るために漁港に向かった。

俺は松崎漁港の土産物屋で海産物の乾物やお菓子を病棟のみんなへのお土産に買う事にした。思っていたよりも種類が豊富にあったので予定よりもたくさん買い込んでしまった。

最後にボン君がバスターミナルまで送ってくれた。帰りは東伊豆経由で帰る事にした。踊り子号で小田原まで行って、そこから小田急で夜の新宿に戻った。

かなりハードな麻雀合宿だったが、旅の安宿の雰囲気を味わえたような楽しい時間を過ごす事が出来た。とても楽しい麻雀合宿の3日間だった。

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