旅の終わり

旅の終わりが近づいてくると、なんとなく寂しい感じがするんだよね。旅の資金があるうちは旅の目的を見失っても、目的を探しながら旅を続ける事が出来るんだけど、旅の資金が少なくなってくるとタイムリミットが近づいてくるのを実感として感じちゃうんだ。旅の終わりが現実感を持って迫って来る感じなの。

それとは別の感情で、早く旅を終らせたいって言う気持ちもあるんだ。旅の最中は旅を楽しんでいるのと同時に旅に疲れてる部分もあるから、旅を続けたい気持ちと同時に旅から解放されたいって言う気持ちがあるんだよね。早く旅の生活を抜け出して日本の生活を楽しみたいっていう気持ちが沸いてくるんだ。帰国してからやりたい事リストを作ったりして、帰国するのを楽しみにしている部分もあるんだ。帰国したい気持ち半分、旅を続けたい気持ち半分っていう心境なのさ。複雑でしょ。

現実的には旅の資金が少なくなってきた事と運転免許の更新が近づいて来てたから、運転免許の更新までには帰国しようと思っていたんだけどね。帰国の準備は特に必要なかったんだけど、どうせだったら日本国内の移動を安く済ませようと思ってたから、タイから直接新千歳空港に帰れるチケットを探してたんだ。だけど、タイから直接、新千歳空港まで行くチケットは高くなっちゃうから、最終的に成田経由で帰ってきたんだけどさ。

今回の6大陸めぐりの旅を振り返ってみると、前回のシルクロードの旅でやり残した事をしたいという気持ちが強かったから、同じ場所に行く事が多くなっちゃったんだよね。その分だけ新鮮さがなくなっちゃって、旅の醍醐味が失われた感じがするんだ。

旅の最初の頃は新しい土地で何気ない物を見ても感激できたし、現地の人と仲良くなった時には特別な感激を体験できたんだよね。でもさ、旅を続けていくうちにドキドキ感とか冒険心が少なくなって、旅のマンネリ化を感じちゃう様な気がしたんだ。素敵な体験が出来たとしても、旅の最初の頃のような感激が出来なくなってきちゃったんだ。旅はマンネリ化してないんだろうけど俺の気持ちがマンネリ化してきたんだろうね。それに気付いた時に俺が求めていた旅の本質が変わってきたと思ったんだ。

旅の後半のバンコクで旅に出たばかりの旅人から「どこが一番良かったか」を質問されたんだけど、答えれなかったんだよね。地球はどこに行っても地球で、山は山だし川は川でそれほど変わりはないんだよね。人の生活だって多少の文化や環境の違いはあるけど、地球での生活はどこでもそんなに変わらないなって思ったんだ。世界はだいたい同じ様なものなんだなって感じちゃったんだ。そんな思考回路を持つようになっちゃったから、旅を続けていても最初の頃のように感激する事が出来なくなっちゃったんだ。

そんな自分の感覚に気付いた時に、俺の旅は精神的にも終わってしまったのかなと感じちゃったんだ。6大陸めぐりの旅で俺の長期旅行は終わりなんだろうね。

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