麻雀と私

世界各地の日本人が集まる宿の中には、麻雀が出来る宿があるんだよね。誰かが麻雀牌を宿に置いて行くみたいなんだ。そんな麻雀の置いてある宿には旅を忘れて沈没してしまっている人が多いんだよね。中米や南米には麻雀が出来る宿が沢山あるんだ。メキシコとかグアテマラとかペルーとかアルゼンチンとかブラジルの宿なんかが有名なんだよね。麻雀ができる宿には麻雀をしたい旅人が集まってくるから、旅の情報も必然的に集まってくるんだ。だから、麻雀ができる宿には情報収集が目的の人達や麻雀が目的の人達が沢山集まってきて沈没宿になってしまう事が多いのさ。

今回の旅で俺が長期滞在してた、ブエノスアイレスの宿にも麻雀牌が置いてあって、誰かが麻雀卓を囲んでるんだよね。朝も昼も夜も関係なく4人そろうと麻雀が始まるから、いつでもジャラジャラと音を立ててるんだ。麻雀メンバーが多くなった時なんて、麻雀したくても人数がそろってしまってて麻雀が終わるのを待っていなくちゃならない時もあるぐらいなんだ。そんな生活を続けているうちに、俺もすっかり古株の主要な麻雀メンバーになってしまって、どっぷりと麻雀に浸かってしまったんだ。夕食後から麻雀を始めて、メンバーを変えながら次の日の昼ぐらいまでノンストップで麻雀を続けてた事も1回じゃないんだ。ひどい時にはそんな状態が4、5日続くこともあったんだよね。それぐらい、麻雀を楽しんでたんだ。

アルゼンチンはワインが安くて美味しいしから、夕方に近所のスーパーでワインを1本買ってきて、それを飲みながら、夕方から麻雀を始めるのさ。気持ちよく麻雀をしているうちにいつの間にか深夜になってるんだ。そして、麻雀に熱中しているうちに朝になって、普通に観光している旅人達が起きてくるんだ。観光の準備万端で起きてきた旅人達は、朝まで麻雀をしている俺たちを見て、驚きつつもちょっと呆れた顔を見せながら、健全にブエノス観光に出かけていくんだ。ちょっとした観光の情報を提供しながら牌を切る手を止めず観光に出発する彼らを見送るの。そして、昼過ぎまで麻雀を続けていると、だらけた沈没者が起きだしてくるんだよね。そんな沈没者も麻雀に参加してくるから、ほとんど休みなく誰かが麻雀を続けてるんだ。

旅行中に麻雀を覚えた初心者や麻雀が強い人もみんなで楽しめるようにレートも低くしてるし、チョンボもある程度は多めにみてもらえるルールにしてるんだよね。本気で麻雀の勝敗にこだわってる人はイライラするかもしれないけど、旅の途中の麻雀なんてそれぞれの旅の話をしながらのんびりと楽しめればそれで良いと思うんだ。

このアルゼンチンの宿ではさ、麻雀をする人が沢山集まってくると麻雀大会が開催されるんだ。普段の麻雀とは違って優勝賞金が出て、歴代の優勝者は宿に名前と写真を掲載されて長く栄誉を表彰されるんだよね。俺も何回か麻雀大会に参加したんだけどさ、ギリギリのところで決勝大会に進出する事が出来ずに終わっちゃったんだ。それでも十分い楽しかったし、お祭り騒ぎみたいな感覚で楽しむ事が出来て良かったのさ。

もちろん麻雀大会の間はほとんど観光もしないでダラダラとした怠惰な日々を過ごしてるんだ。

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