食べ物と私
旅に出る前の俺は好き嫌いが多くて偏食が激しかったんだよね。でも、旅をしているとそんな事いってられないから、何でも食べるようになってきたんだよね。辛い物も苦手で、カレーライスとかも甘口を食べてるぐらい辛い物が苦手だったんだ。
でも、海外って辛い物が結構多いんだよね。辛くなく調理して欲しいとお願いしても辛いんだ。普段よりは辛さを抑えてくれてるんだろうけど、俺にとっては辛いものばかり出てくるんだよね。だから、旅の最初のうちは辛い食べ物に悩まされてたんだけど、そのうちに辛い物に悩まされなくなってきたんだ。
きっと、辛い物を何度も食べているうちに俺の辛さの味覚が変化してきたんだろうね。何人かで一緒に食事をする時に他の人が辛いと言っている物を美味しく食べる事が出来る様になってて驚いてしまったもん。気が付かないうちに辛さに対する免疫が付いてきて味覚が変化して来たんだろうね。何でも美味しく食べる事が出来るようになったんだ。
そのうちに偏食も直ってきて、好き嫌いもほとんどなくなってしまったの。それどころか世界のゲテモノ料理とかにも興味が出てきたんだ。せっかくいろいろ旅をしてるんだから現地でしか食べる事の出来ないものを食べてみようと思うようになってきたんだよね。羊の脳みそとか、牛の血を腸に詰めた物とか、南極の氷とかも食べたんだ。味はともかくとしてさ、経験という事で何でも食べる事が出来てよかったと思ってるよ。
それでも、どうしても見た目で無理だった食べ物が1つだけあるんだよね。それははラオスで勧められた虫の串刺しなんだよね。あれだけはどうしても食べる事が出来なかったな。甲殻系の虫を4匹串刺しにして揚げてるみたいだったんだ。バスターミナルでバスを待ってる時なんかラオスの親子なんかは子供もお母さんも串刺しをおやつ代わりに食べてるんだよね。バスの中で隣に座った親子に1本勧められて、手に持ってしまったけどどうしても食べる事が出来なかったんだ。
ラオスの人が食べているのを見ていると美味しそうに食べてるから、食べてみると美味しいんだろうけど見た感じがどうにも駄目だったんだ。実際に目の前に串刺しの虫を出されると、どうにも萎縮してしまったんだ。