写真撮影

俺は写真を撮るのが苦手なんだよね。だからカメラを持たないで旅をしてるんだ。カメラってさ、本体の他にフイルムや電池とかを持ち運ばなくちゃならなくてさ、荷物が増えてしまうから嫌いなんだよね。それに、せっかく現地に来てるんだから写真を撮る事に時間を費やすよりもその場の雰囲気を楽しんだり、その場面を心に刻んだ方が良いと思ってたんだよね。

それにカメラって盗まれる可能性も高いから持ち運ぶ時にはいつも気をつけていないと駄目なんだよね。そんな理由が重なり合って、カメラを持たないで旅をするようになったんだ。

でも、旅をしているうちにデジカメを持って旅をしている人たちに出会う事が多くなったんだ。デジカメはフイルムがないしカメラ自体も小さくてコンパクトだから、持ち運びで困る事は無いような感じがしたんだよね。それにさ、フイルムじゃないから間違えて撮ってしまった写真を消す事が出来るのも、とても便利な機能だなって思ったんだよね。

思い出ってどんどん記憶と共に忘れていってしまうからさ、写真で記録として残しておくのって、記憶を風化させない為にはとても良い方法だと思う様になって来たんだ。そんな風に俺の思考回路も変わってきたんだよね。そのうちに日本に帰ったらデジカメを買おうかなと思うようになってきたんだ。今までどうしても写真を撮る事やカメラを持って旅をする事を受け入れれなかった俺の考えを変えてしまったデジカメって凄いなと思うよ。

デジカメを持って写真をたくさん撮るためにもう一回ぐらい旅をしたいなと思うほど、デジカメを素晴らしいと思うようになったんだ。欲しいなと思うようになったんだ。

多くの旅人はカメラを持って旅をしてるんだけどさ、何人かは俺と同じようにカメラを持たないで旅をしてる人もいるんだよね。旅先では目的が一緒だったりすると同じ目的に向かって一緒に旅をする事があるんだけどさ、ほとんどの人はカメラを持ってるから観光地に来ると写真を撮る時間が必然的に生まれるんだよね。俺一人で旅をしていると、そういう時間は絶対にないんだけどさ。そんな時に俺がカメラを持っていない事を知ると、たいていの人は驚いてしまうんだよね。

それでも、ウルグアイを4人で旅をしている時には不思議な事が起こったんだ。4人中3人がカメラを持たないで旅をしていたの。ひとりだけが写真を写す時間を欲しがっててさ、普段だったらカメラを持ってる人が多数派になるんだけど、その時はカメラを持っていない人が多数派だったから、なんとなくいつもと違う空気になったんだ。そして、写真の必要性を感じていないのは俺だけじゃないんだなって思ったんだ。

俺がこれからカメラを持って旅をするとしてもさ、今までは写真を撮る習慣が無かったから写真と取るタイミングが判らないような気がするんだよね。大事な時にカメラを持っていなかったりとか、シャッターチャンスでカバンからカメラが出て来なかったりとかさ。でも、そんな試行錯誤を繰り返していくうちに写真をとる場面がなんとなくわかるようになって、すぐに写真と撮ったり出来るようになるんだろうね。普通の人たちみたいにさ。

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