ソンクラーンの戦い

今回の旅の最大の目的は南極に行くことだったんだよね。だから、南極から帰ってきてからは旅の目標を見失ったような感じになったんだ。旅って何か次の目標を持って継続した方が充実できると思うんだよね。その目標を探しているうちにタイのソンクラーンが候補に挙がってきたの。ソンクラーンだったら、旅の目標に掲げても十分に魅力的なイベントだろうと思ってさ。

そんな理由から南極から戻ってからはタイのソンクラーンを目指して旅を継続をしてきたんだ。旅をしている間にネットや旅人からの情報でバンコクよりもチェンマイのソンクラーンが面白い事を聞いたんだよね。そんな情報を頼りにソンクラーンの数日前にチェンマイに到着することが出来たの。

ソンクラーンの数日前に到着したチェンマイでは観光をしたりソンクラーンの準備のために水鉄砲を買ったりしてたんだよね。そんな感じでソンクラーンが始まるのを待ってたんだ。ソンクラーンが始まってからは街中が戦場のようになっていてさ、どこにいても水鉄砲で撃たれてしまうんだよね。もちろん、俺も反撃しながら逃げ回ったり、特攻を掛けていろんな人を撃ちまくったんだけどさ。

ターペー門の近くに企業のブースが出店していて水や氷をたくさん提供しているから、そこで水を補給しながら戦ってたの。夢中になって水を掛けていると、あっという間に時間が過ぎていったんだよね。休む暇もなく前後左右から水が飛んでくるから一瞬も気を抜けないんだよね。その間に俺だって誰かを水鉄砲で狙い撃ちしてるんだけどさ。夢中で戦闘に参加してると3時間ぐらい過ぎていてさ、ちょっと疲れてきてから休憩する事にしたの。一番の激戦地からちょっと離れるとある程度落ち着いているから少しは休憩できるんだ。もちろん、休憩中もいろんなところから水は掛けられるんだけどね。

途中から南米のウシュアイアで一緒だったホホタ(仮名)さんや菊代(仮名)ちゃんと一緒になって、水鉄砲でいろんな人を狙い撃ちして楽しんでたの。もう、街中で水鉄砲の戦争状態になってるからさ、落ち着いた場所に移動していてもどこからか水鉄砲で狙われてしまうんだよね。

企業が水や氷を提供してる場所が市内のいろんな所にあってさ、そういう場所では無尽蔵に戦闘物資が手に入るんだ。それを目当てにみんなが集まってくるから、かなり激しい激戦地になってるんだよね。激戦地を渡り歩きながら、いろんな人たちと戦いつつ戦闘を楽しんだんだ。ソンクラーンの時期のタイはとても暑いから水を掛けられても、クールダウンして気持ちが良いぐらいなんだよね。でも、企業のブースは氷の入った冷たい水を用意してる所があってさ、氷の入った冷たい水を掛けらるのはさすがに冷たくて驚いてしまうから、スリリングなんだよね。

ソンクラーンの期間は基本的に太陽が出ている時間だけみたいなんだよね。だから、日中は濡れないように外を歩く事は無理なんだ。でも、夕方になるとみんな疲れてきてなんとなく激戦を繰り広げていた場所でもなんとなく人が少なくなっていって、太陽が沈むころいはいつの間にか休戦状態になってるんだよね。そして、水を供給してくれる企業もいつの間にかブースを閉めてるの。

だから、夜になるとみんな乾いている服に着替えて街に繰り出すんだよね。ソンクラーン期間中は夜になると夜店が出店してきて縁日みたいになってるんだ。とてもたくさんの人が夜のチェンマイを楽しんでるの。普段よりもソンクラーンの時期は観光客も多くなってるみたいだから活気があって面白いんだ。たまに水鉄砲を持った人がいてちょっとだけ濡れてしまう事があるけど、それぐらいは許される範囲かなって思うんだ。

でも、欧米人が喜びそうなバーの近くに行くと酔っ払った欧米人があたりかまわず水を掛けてるような事もあるけどね。そういうところを通ろうとすると彼らの餌食になってしまうから、そういう場所は出来るだけ避けて濡れないように自衛するしかないんだけどさ。

菊代(仮名)ちゃんの友達がトラックを持っているからトラックの荷台に水桶を乗せて街中を走り回って、ゲリラ的に街中にいる人たちを狙いまくったんだよね。トラックに乗ってる俺たちも狙い撃ちされるんだけどさ、ゆっくりと走りながらいろんなところの人たちを撃ちまくるのは面白かったよ。

でも、みんな考えている事は同じでさ、街の中は狙い打ち狙撃者を乗せたトラックだらけで渋滞してるんだよね。トラックどうして戦いになったりする事もあってさ、走りながら戦闘開始する事もあって、とても楽しかったんだ。

水鉄砲を持って戦争みたいに楽しむのも面白かったけど、ソンクラーンの本来の意味はタイの新年の行事なんだよね。だから、水を掛ける事はタイでは新年の挨拶の代わりでもあるらしいんだよね。小さなコップに水を入れて、「明けましておめでとう」ってタイ語で言いながらいたるところにいる人に優しく水を掛けてまわったらさ、みんな「明けましておめでとう」って、言い返してくれるんだよね。それが、とても嬉しくてさ交差点で信号待ちしている自転車とかバイクの人たちに新年の挨拶をしながら水を掛けてたの。俺が水を掛けた人たち全員が笑顔で新年の挨拶をしてくれてさ、とても楽しかったんだ。

南極から戻ってきて、1年以上前から目標にしていたソンクラーンは俺が期待していた以上に楽しいお祭りだったんだ。心残り無く十分に満足できたさ。

<<6大陸めぐりの旅に戻る