コーン島リゾート

2004年5月に行ったラオスのコーン島のご紹介。

5月1日の9時ぐらいにラオス南部のパクセからトラックに乗り、お昼ぐらいにはバンナカサンに到着した。そこから船でコーン島に渡る。コーン島はメコン川に浮かんでいる島で南国風の観光地になっておりのんびりとリゾートを楽しめる場所だと聞いていた。

バンナカサンの船着場から小さなモーターボートに乗ってコーン島に向かう。ちょっと波があるとすぐにひっくり返ってしまいそうな4人ぐらいしか乗ることの出来ない小さなモーターボートだが、それでも川の流れを突き抜けてコーン島の中心地を目指す。ちょっとスリリングだ。

コーン島の周辺にはたくさんの島々が点在しており、数千の島があるとガイドブックには書いてあった。モーターボートはたくさんの島の間をすり抜けるようにして進んでいく。川幅が狭くなり天然の運河のような場所を奥まで進み宿の裏手に到着した。他の宿を探すのも面倒だし、値段も設備も妥当だったので今日はその宿に泊まる事にした。

コーン島はのんびりとした場所だ。観光地としてはあまり有名ではないので店屋も食堂もほとんどなく、ネットも出来ない。夜になると電気も止まってしまう。道路も舗装されていないし、公共交通機関もない。何をするにしても不便なことばかりだが、何もしない事の贅沢を味わうことができる。

夜は電気が完全に止まってしまうので、街の明かりはロウソクだけだ。星がとても綺麗に見える。ロウソクの明かりだけでラオスコーヒーを飲みながらのんびりしていると稲妻が光り、空気を震わせるような音が数秒後に聞こえた。久々に綺麗な稲妻を見る事が出来たと悠長な事を思っている余裕がないうちに激しい雨が降り出した。

激しい雨が降り出したと思うと、あっという間に地面が水浸しになってしまった。これがスコールなのだろう。この辺りは雨季に入ったのかもしれない。宿までどうやって帰ろうかと途方にくれながらコーヒーを飲みながら考えていると30分ほどで雨は上がった。そして、あれだけ水浸しになっていた地面もすぐに乾いてしまった。今日も蒸し暑い夜になりそうだ。

5月2日は朝の5時半から行動を開始した。朝は涼しいので動きやすい。コーン島から滝を見る事が出来るというのでだらだらと歩いて滝を見に行く。狭い小道を歩いていくと水が流れる音が聞こえた。滝というよりも巨大な瀬という感じだった。カヤックやラフティングで降るにはかなりのテクニックが必要そうだ。俺の技量では途中で死んでしまいそうな巨大な瀬だ。しばらく眺めていたが、水の流れは何時間見ていても飽きない。

滝の周りは砂浜になっていた。周囲を歩いていると巨大な蟻の行列を発見した。今までに見た事の無い頭が四角い不思議な蟻だ。しばらく眺めていたが本当に蟻なのかと疑問に思うぐらい不思議な形の蟻だった。

宿の近くには小さな蒸気機関車の模型とアーチ型の橋がある。蒸気機関車は模型だと思っていたが昔は実際に活躍していたらしい。フランスの植民地にされていたときに活躍していたのだというが、今ではすでに遺跡のような雰囲気を漂わせていた。

太陽があがってくると気温も上昇してきた。水シャワーを浴びてクールダウンする。それから島をブラブラと歩く。コーン島は俺が思っている以上に大きな島らしい。歩いて島を一周するには1日以上かかってしまいそうだが、島を一周できる道があるかどうかの方が怪しいところだ。それでも島の雰囲気を味わえるぐらいは歩いてみようと近隣を散歩する事にした。見所は何もない村という感じだったが緩やかな時間が流れていた。途中からは犬が1匹付いてきた。のどかな村の中を散策できて楽しい。30分ほど村の景色を見ながら歩いていたが疲れてきたので途中で引き返した。犬は縄張りがあるようで、途中までは俺のお供をしてくれたが自分の縄張りの境界線で見送ってくれた。どうやら犬は俺を監視するために付いてきていた様だ。

3時半ぐらいからコーンパペンの滝を見に行く。モーターボートが宿の近くまで迎えに来てくれたのでそれに乗って滝に向かう。30分ぐらいモーターボートで移動する。途中には瀬になっているところもあり、水しぶきがかかった。転覆は免れたので良かったが下手なジェットコースターよりもスリリングな移動だった。

コーンパペンの滝などコーン島に来るまでは聞いた事がなかったしあまり期待していなかったのだが、思っていたよりも迫力があった。アフリカのビクトリアの滝南米のイグアス滝とはまた違う感じがする。それぞれの滝は比べるものではないし、コーンパペンの滝にはコーンパペンの滝としての魅力があるので違っていて当然だろう。

展望台の脇には道があって、その道を降りていくと滝に近づいて行く事が出来た。滝に近づくと迫力が一気に増す。管理されていない場所の様なので安全対策の柵や手すりなどは無い。落ちてしまえば命の保障はないのだが、それもすべて自分の責任で行動範囲を決めることが出来る。

何でもかんでも責任を施設管理者に押し付ける風習がある先進国とは違い、管理者が責任を押し付けられる事が少ないラオスでは施設管理者が観光客の行動を規制する必要が少ないのだろう。責任は自分で取るが好きな場所まで入っていける風習の方が面白い体験ができる。

帰りも同じモーターボートでコーン島に戻るのだが帰りは上流に向かって進まなければならないので1時間ぐらいかかった。夕日がメコン川に映っていた。水面すれすれから眺める夕日は美しい。宿に到着する頃には辺りはかなり暗くなってきていた。

夜になると気温が下がってきて過ごしやすくなる。それでもかなり暑いのだが。今日も昨日の食堂でラオスコーヒーを飲みながらのんびりと過ごす。何もない場所で何もしない贅沢を楽しむ。月明かりが綺麗だ。もちろん今日も雷が鳴り響き激しいスコールを体験した。

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