キルワ遺跡ツアー

2004年2月に行ったタンザニアのキルワ遺跡のご紹介。

2004年2月4日の朝、タンザニアの首都のダルエスサラームからキルワの遺跡に向う。キルワに行くバスは朝の6時に出発するという。いつものようにアフリカ時間が適応されるだろうから、本当に出発できるのは7時か8時ぐらいだろうと思いつつも、バス会社のオフィスに行く。まだ、外が暗いのに、バス会社のオフィスはたくさんの人が集まって賑わっていた。そしてバスはたくさんの人を乗せて時間通りに出発した。

キルワに行くバスはかなり年季の入ったバスで、予想通りにスピードが出ない。バスの車内は人と荷物でぎゅうぎゅう詰めになっている。椅子も人が座ることができる機能があるだけで座り心地に対する配慮はしていないようだ。長時間乗っているとお尻と背中が痛くなる。この状態を10時間ぐらい続けた後にようやくキルワに到着した。

キルワ遺跡はキルワ・キシワニという島にある。キルワ・キシワニには遺跡以外に何もないのでキルワ・キシワニの対岸にあるキルワ・マソコという村に宿泊する。バスもキルワ・マソコの村に到着する。キルワ・マソコは小さな港町のようだ。

ダルエスサラームからのバスがキルワ・マソコに到着したのは午後3時ぐらいだった。キルワ・キシワニの遺跡を見に行くにはパーミットが必要だと聞いていたので、警察署に行ってパーミットの情報を聞いてみたが、今日は終わったから明日の朝に改めて来るようにと言うだけで、取り合ってもらえなかった。

2月5日の朝、言われた通りに警察署に行くと、この辺りの元締めのオフィスに連れて行かれた。この元締めがキルワ・キシワニの上陸許可のパーミットを書いてくれた。そのパーミットを持って港にいく。

港では何人かの男たちが小さな小屋の近くで話しをしている。その中の1人が近づいてきてパーミットを見せろと言ってきた。その男にパーミットを見せると小屋の中に連れて行かれ、キルワ・キシワニに行く手続きを済ませる。これでようやくキルワ・キシワニに渡る船に乗ることが出来るようだ。キルワ・キシワニに行くにはガイドを同行させないとならないようで、若い兄ちゃんが一緒に行ってくれる事になった。

ガイドの兄ちゃんに促されて海岸に向う。海岸には桟橋のようなものは無く、10人ぐらい乗れそうな一隻の船が海岸から少し離れた所に止まっている。どうやら、キルワ・キシワニに行くためにはこの船に乗らなくてはならない。ガイドの兄ちゃんはヒザぐらいまでズボンを濡らしながら波打ち際から船まで歩いていく。俺もヒザ上までズボンを捲り上げて海に入ってやっとの思いで船に乗る事ができた。

ヒザまで水に浸かってようやく船に乗り込んでホッとしていると、いつの間にか船は出発していた。船員の兄ちゃん達が忙しく動きながら帆を張っているので船は音も無く進んでいく。俺が歩いてきた海岸があっという間に遠くなっていた。船は風の力だけで進んでいくのだ。帆船に乗ったのは初めてのことだったので感激してしまった。

海岸を離れた帆船は2キロぐらい先のキルワ・キシワニを目指して進んでいるが、進んでいる感じがしない。エンジン音も無ければ風を切る感じもない。それでも帆船は着実に進んでいるようで徐々にキルワ・キシワニの海岸が近づいてきた。

船が止まったところは波打ち際まで30メートルぐらいのところだった。キルワ・キシワニに上陸する時も濡れなければならないということだ。ガイドの兄ちゃんも他の乗客もヒザの上まで海に浸かりながら上陸している。ズボンが濡れてしまうのは諦めるしかなさそうだ。

キルワ・キシワニに上陸して遺跡めぐりの観光をはじめる。ガイドの兄ちゃんに案内されるままに遺跡を巡る。モスクの跡スルタンの城の跡スルタンの墓を巡る。あまり観光客が行かない場所まで貪欲に見てみたい俺は遺跡の中にどんどん入っていく。ガイドの兄ちゃんの案内もあるのでとても感激だ。観光の途中で今も使われている井戸を見せてもらった。その井戸は今も島の生活に使用しているのだそうだ。井戸に興味を引かれていると現地の女性が水を汲みに井戸に来ていた。

キルワ・キシワニには商店もホテルもない。観光客は遺跡の見学だけのためにキルワ・キシワニにやってきて、その日のうちにキルワ・マソコに戻ってしまうので気付きにくいのだが、キルワ・キシワニでは電気を見ていない。そのことをガイドの兄ちゃんに聞いてみると、やっぱり電気は通っていないのだそうだ。

遺跡の見学をしているうちに船で渡ってくるときに濡れてしまったズボンはほとんど乾いた。晴れ男の俺のお陰でキルワ・キシワニでの遺跡観光中は晴れていた。しかし、帰りも同じように濡れながら船に乗って帰るのだろうから、結局は濡れてしまうことになる。

キルワ・キシワニの遺跡を十分に見学して、キルワ・マソコに戻る時間が近くなってきた。ガイドの兄ちゃんの動きがあわただしくなって他のガイドとなにやら話をしている。どうやら、風が強くなってきたので、帰りはモーターボートでなくては帰れなくなってしまったようだ。そして、迎えのモーターボートがキルワ・マソコから向かってきているのだと言う。帰りも帆船に乗ってのんびりと帰りたかったが、仕方がないのでモーターボートで戻ることにした。

モーターボートは波を切り裂いて突っ走りあっという間にキルワ・マソコまで我々観光客を送り届けてくれた。しかし、波をかぶっているのでキルワ・マソコに到着したときにはTシャツもズボンもすっかり濡れてしまった。

昼過ぎにはキルワ・マソコに戻ることが出来たので、その日のうちにダルエスサラームに戻ってしまう計画だったが服は濡れているので気分が乗らない。それでも気を取り直してバス停に行くとダルエスサラーム行きのバスは明日の朝まで無いという事だったので、キルワ・マソコにもう1泊する事になってしまった。

キルワ・キシワニで観光をしている午前中はとても天気が良くて暖かかったが、午後からは雨も降ってきて寒くなってきた。モーターボートで濡れてしまった服を乾かそうと思っていたが、この天気では服を乾かすのは無理のようだ。

2月6日の朝までに服を乾かす努力はしていたが、予想通りに服は乾かなかった。少し湿ったままの服をバックパックの中に押し込んでバス停に向かう。まだ、外は暗かったがダルエスサラームに行く人がバス停に集まっていて賑わっていて、バスは定刻通に出発した。なんとも素敵なことだ。

俺は運転手のすぐ後の席に座ることが出来た。見晴らしの良い席に座っているのはなんとなく気持ちが良い。バスはダルエスサラームに向かって軽快に走っていき、3時頃にはダルエスサラームに到着できた。

<<6大陸めぐりの旅に戻る