ケープタウン観光

2003年12月に行った南アフリカのケープタウンでの観光のご紹介。

2003年12月25日の朝、ブエノスアイレスから8時間かけて飛んで来た飛行機は喜望峰の上空を旋回してケープタウンの空港に到着した。飛行機の上から喜望峰を見る事が出来るとは思っていなかったので感激だ。飛行機の小さな窓からしっかりと目に焼き付けた。

ケープタウンでの最大の観光目的は喜望峰を見に行くことだ。喜望峰までの交通機関は殆ど無いようなので、レンタカーを借りて喜望峰に行く計画だ。レンタカーがあれば喜望峰の帰りに色々なところを観光する事も出来るだろう。しかし、ケープタウンに到着したのはクリスマス真っ只中の12月25日だ。街の中はゴーストタウンのようにどこの店も閉まっている。キリスト教圏の南アフリカではクリスマス休暇は誰も働きたくないようだ。仕方が無いので、本日は休養日とすることにした。時差ぼけもあり飛行機の疲れもかなりあったのでゆっくり休めという事かもしれない。観光は明日からする事にした。

12月26日はサンクス・ギビングデーという休日なのだという。レンタカー会社を探すために早朝から街を歩いたが商業施設は殆ど休んでいる。たいていのレンタカー会社は閉まっている。それでも何件かは営業していたのでレンタカーの値段を聞いてみる。普通の交通機関と比べると値段は高いがレンタカーなので仕方が無い。早速今日から車を借りたいと思ったが、今はピークシーズンの様でレンタカーを借りるにも1週間ぐらいは予約で満杯だと言われてしまった。どうやら、クリスマスシーズンに予約もなしにレンタカーを借りようとする事が間違っていたようだ。今回は飛行機の上から見た喜望峰だけで満足するしかなさそうだ。

レンタカーを借りる以外にも休日のケープタウンでやらなくてはならない事が沢山ある。お金を両替したり、バスのチケットを買ったりと忙しい。それよりも何よりも、お腹がすいてきたので食事を食べるのが先決だ。街の中心部は殆どが休みなので食事場所を探すだけでも一苦労だ。街の中心部から少しはなれたところにウォーターフロントと言う観光施設を併設した港があるのでそちらに行ってみることにした。ウォーターフロントは活気がある。クリスマス休暇を楽しむ人のためにやる気全開で営業中だった。近代的なショッピングモールと港の複合施設でみやげ物屋やレストランや博物館が併設していて、とても賑わっている。

ウォーターフロントを満喫したあとにサンクス・ギビングデーでゴーストタウンのようになっている街の中心部に戻ってきた。バスターミナルに行き、ナミビアのウイントフック行きの国際バスのチケットを買う。明日のチケットはなかったので明後日のチケットになってしまった。

その後に国立歴史博物館に行く事にした。太陽が沈む前に国立歴史博物館の見学を終わらせてしまわなければならない。日中の治安は大丈夫だが、暗くなってからの独り歩きは不安だからだ。太陽が沈むかでに時間はまだあるが常に身の安全には配慮しておきたい。

それでも、今のところは強盗に襲われることなくケープタウンを歩き回る事ができている。もちろん細心の注意を払っているし、街中を歩いている時は常に後ろを確認して気を張っている。

ウイントフック行きのバスが出発までの余った1日はケープタウンの街のシンボルのようになっているテーブルマウンテンに登る事にした。宿の近くでタクシーを捉まえてテーブルマウンテンのロープーウェイ乗り場まで行く。そこからロープーウェイに乗らずにテーブルマウンテン登山をする。

テーブルマウンテンの登山ルートは2つあり、距離は長いが誰でも登れる簡単なルートとショートカットして登っていく難しいルートがあり、コースは途中で別れている。もちろん簡単なルートを登ろうと思っていたが、たまたま一緒のペースで登り始めた初老の欧米人達が難しいルートを登り始めたので、彼らに付いて行く事にした。

最初は普通の登山だったが次第に難しいルートの意味が判ってきた。手を使って岩をよじ登る場所が現れた。下手をすると落ちてしまい怪我をする可能性がある。そのうちに下から見上げるとロッククライミングのような絶壁をよじ登っていく羽目になった。初老の欧米人に遅れないようにして登る。どうにかこうにかテーブルマウンテンの頂上がすぐ上に見える9合目ぐらいの位置まで登ってくる事ができた。最後の岩壁を登りきれば頂上だ。しかし、頂上までの岩壁は今までの岩壁よりもかなり難易度が高そうだ。9合目から見る限りでは俺のレベルで頂上までの岩壁を登るのは危険が多すぎる。なので、最後の岩壁を登るのは諦めた。ちょうど迂回ルートがあったので迂回ルートを行く事にした。少し遠回りになるが最後の岩壁を登る力量は今の俺には無いので迂回するのが一番だ。この迂回ルートが思ったよりも長く、もう少しで頂上なのに頂上に登れないもどかしさを抱いたまま、かなりの距離を迂回させられた。結局、簡単なルートの9合目まで迂回してから頂上に登る事になった。

テーブルマウンテンと言うだけあって頂上は平らでかなり広い。日差しは強いが風が吹いていて少し寒い。しかし、眺めは最高だ。眼下にケープタウンの街並みが広がっている。レンタカーを捜し求めてさまよっていたケープタウンの街並みが良く見える。頂上は観光客が大勢いてとても賑わっていた。途中まで一緒に登った初老の欧米人を探したが見つけることは出来なかった。

帰りは簡単なルートから下山する。殆どすべて階段で登山道が作られている。途中まで降りて来た辺りでヒザがガクガク言い始めてかなり痛くなった。そのうちにヒザに力が入らなくなってきた。しかし、途中で下山をやめる訳にはいかない。この階段を降りてしまわなければどうにもならないのだ。ゆっくりとヒザに負担がかからないようにしながら降りる。だましだまし降りて行き、何とかヒザが壊れる前に階段を降り切る事ができた。平坦な場所を歩く分にはヒザの負担が少ないようで安心した。ロープウェイ乗り場まで歩き、そこで少し休むとヒザの疲労はある程度回復した。

帰りはバスで宿まで戻ろうと思ったが、バス停がどこにあるかも判らず、どのバスに乗ったらよいのか判らないので、とりあえず街の方に向って歩いていく事にした。よく判らない交通機関を利用するよりは自分の足の方が確実だったので、結局は宿まで歩いて戻ってきてしまった。かなり疲れたが、十分に満足できたテーブルマウンテン登山となった。

俺がテーブルマウンテンに登った後にケープタウンで日本人の男性が行方不明になったそうだ。ケープタウンは治安が悪い街なので事件に巻き込まれたのかと思ったが、テーブルマウンテンの登山中に転落して死亡したらしい。あの最後の岩壁なら転落して死亡する事が容易に想像できる。悲しい事だ。

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