月の谷ツアー

2003年6月に行ったチリのアタカマ砂漠にある月の谷ツアーのご紹介。月の谷ツアーの時の資料は盗まれたのでありません。完全に俺の記憶だけを頼りにして書き起こしているので、事実と違うことがあると思いますが、その辺はご容赦を!!

チリ北部には標高2400メートルのアタカマ砂漠が広がっており、その砂漠の中にサン・ペドロ・アタカマの街はある。このサン・ペドロ・アタカマ近郊にはタティオ間欠泉アタカマ塩湖月の谷などの観光地が密集しており、サン・ペドロ・アタカマは観光の拠点になっている。なので、この街に滞在している観光客は多い。

俺はウユニ塩湖ツアーの途中でマイクロバスに乗り換えてボリビアからチリに抜け、サン・ペドロ・アタカマに到着した。ウユニ塩湖ツアーで一緒だったオランダ男性も俺と一緒にサン・ペドロ・アタカマにきた。4000メートル以上の標高から一気に2400メートルまで下がって来たので空気の濃さを感じるが、普通に考えるならばサン・ペドロ・アタカマも標高の高い場所である。

我々がサン・ペドロ・アタカマに到着した時には街中が下水工事の真っ只中で、ほとんどの道路が掘り返されているのでとても歩きにくい。かなりタイミングの悪い時期にやってきてしまった。

オランダ男性と俺は同じ宿にチェックイン。お互いに興味のある観光地が違うのでそこからは別行動を取る事にした。1人になった俺はサン・ペドロ・アタカマの街をブラブラと散策する。この街は歩いて回れるぐらいの小さな街で、いたるところにツアー会社が店を構えている。何件かのツアー会社でどんなツアーがあるのかを聞いてみる。どのツアー会社もだいたい同じ内容で、タティオ間欠泉とアタカマ塩湖と月の谷のツアーがメインのようだ。間欠泉と塩湖はウユニ塩湖ツアーで体験しているので月の谷ツアーを申し込む事にした。

一番良さそうなツアー会社で明日の月の谷ツアーに申し込んだ。それからしばらく街を散策し、夕方近くに宿に戻ってきた。ちょうどオランダ人男性も宿に戻ってきたところだったので、今日の夕食はオランダ男性と一緒に夕食を食べに行く事にした。店の真ん中で焚き火が燃やされている雰囲気のいいレストランで食事をする事にした。お互いに今日の出来事や明日からの旅の予定を話し合った。オランダ男性はサン・ペドロ・アタカマが気に入ったらしく、しばらくこの街に滞在することにしたらしい。焚き火を見ながらお酒も入って気分の良いうちに夜は更けていった。

次の日の月の谷ツアーは夕日を見るツアーなので出発は夕方である。それまでの間は街の中を観光する。この街の博物館には綺麗な女性のミイラが展示されている。ミイラマニアの俺としては是非、このミイラも目に焼き付けておきたい。なので午前中に博物館に行くことにした。実際に見たミイラの保存状態は良く、これだけ綺麗に残っているミイラは世界を探してもあまりないだろう。博物館自体は小さな博物館だがミイラの保存状態の美しさには感激する。

博物館の隣には小さなおみやげ市場があった。観光客があまりいないので市場は閑散としている。みやげ物屋の店員ものんびりとしていてヤル気も感じられない。これで、生活していけるのかと俺が不安になってしまう、のんびりとしたおみやげ市場だ。

博物館に行ったり、おみやげ市場に行ったりしながら、ふらふらと下水工事中のサン・ペドロ・アタカマの街を散策していると月の谷ツアーの時間が迫ってきた。集合時間の少し前にツアー会社に行くが、誰も来ていない。当然のごとく出発時間は20分ぐらい遅れた。ボリビアもチリも南米時間で動いている事は変わらないらしい。

ワゴン車に7人ぐらいの観光客を乗せてツアーは出発しする。最初の観光予定は砂丘だ。ワゴンを降りると砂丘が広がっている。ガイドに促されるままに砂丘を登りだす観光客。俺もみんなに遅れないように砂丘を登り、稜線をめがけて進んでいく。砂が靴の中に入ってくるし、思っていたよりも勾配が急なのでとても登りにくい。ようやく砂丘の稜線にたどり着くことが出来たが眺めはあまり良くない。砂丘の稜線よりも高い岩山が近くにたくさんあるので遠くまで見渡す事ができないからだ。

この砂丘は景色よりも砂のキメ細かさに驚かされた。綺麗な粒がそろっていてとてもサラサラの砂丘なのだ。稜線の頂上から一気に駆け下りると非常に面白い。勢いがついているので途中で止まる事はできない。傾斜が緩くなるまで走り続けるしかない。もし、途中で転んでしまうと転がり降りてくるのだ。駆け下りても転がり降りてもどちらも面白い。砂だらけになったが、かなり楽しい時間を過ごしてしまった。みんな、ワゴンに乗り込む前に靴や服に入った砂を黙々とかきだす。ある程度の砂を落としてからワゴンに乗り込む。

次に小さな鍾乳洞に連れて行かれた。岩石だけの世界にポッカリと鍾乳洞の入り口が空いていた。入り口から地下に入っていく。鍾乳洞の中はそんなに広くないし、そんなに深くもない。鍾乳洞よりも入り口の周りの景色の方が素晴らしい。岩石が辺り一面ごつごつとしていて、異世界に来たような感覚を受けた。

鍾乳洞の後、いよいよ月の谷に向う。ツアー参加前に見ていた写真から三日月の形をした谷なのだと思い込んでいたが、月の世界のような谷なのだそうだ。実際に月の谷を見て、ようやく俺の誤解が解けた。そう思って月の谷を見るとどことなく月の世界のように感じる。

ここで夕日が沈むのを見てサン・ペドロ・アタカマに戻る。夕日が沈むまでにはまだ30分ほど時間がありそうだ。他のツアーの車もだんだんと集まってきた。たくさんのツアー会社の車が夕日が沈む時間に集合するのだろう。月の谷で見る夕日がこのツアーのハイライトになる。せっかくなので砂丘を登り、見晴らしの良い場所を陣取る。最初に登った砂丘よりも勾配が急で登りにくい。裸足になって登っているツアー客もいる。

砂丘の稜線に観光客が集まってきた。ここからの夕日は綺麗に見えそうだ。観光客が砂丘の稜線に一列になって座り込んでいる風景は面白い。みんな夕日の方に向かってカメラを構えている。徐々に夕日が沈んでいく。後ろを振り返ると岩壁が赤く染まっていた。地球上の風景とは思えない地形が夕日に照らされ赤く染まっている。月の谷全体が1つの舞台のように美しく燃え上がっているようだ。カメラのシャッターを切る音があちらこちらから聞こえてくるが、綺麗なものを見ると心が美しくなる。太陽の美しさを改めて実感できたひと時だった。

俺は晴れ男なので、今日も太陽が沈むところを見ることが出来ている。俺がいるとこういう時は必ず晴れてくれるのだ。

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