サンタクルスの鉄道

2003年5月にボリビアのキハロとサンタクスルとを結んでいる列車に乗った時の話のご紹介。アマゾンのジャングルをのんびりと走る列車の旅。

ブラジルのサンパウロからボリビアの国境まではひたすらバスに乗る。サンパウロから16時間のバスの旅でカンポグランジという街に到着。そこから更にバスに8時間揺られて、ボリビアとの国境の町コルンバに到着した。コルンバはパンタナール湿原の玄関口の街である。遊覧フェリーなどがあるようだが、今はシーズンではないようで、どこのツアー会社もやる気がない。なのでフェリーに乗って観光するのは辞めた。

コルンバの街から国境まではローカルバスが出ているようなので、それに乗って国境に行く。この国境は比較的自由に行き来が出来る国境だ。ブラジルの出国手続きは無いので、抜け目なく前日にコルンバの街で出国の手続きを済ませておいた。ボリビアの入国手続きでは30日間しかビザを貰えなかった。たいていの国は90日ぐらい貰えるので、不服だったので60日ぐらい欲しいと入国審査官に話したが無理だった。納得がいかないがどんなに言っても30日以上は貰えなかった。

ボリビアに入国したのは夕方だった。国境からキハロの村まではタクシーを使うしかないようだ。最低限のボリビア通貨を手に入れて今日の宿を決める。外が暗くなってきたので、全ての手配は明日する事にして、夕食だけを食べる事にした。

次の日。ボリビア2日目の朝だ。今日の仕事は列車のチケットを手に入れる。キハロからサンタクスルの街までは鉄道しか通ってないので久々の鉄道の旅になる。キハロは小さな村で、中心部は歩いて回れるぐらいの大きさなのが嬉しい。

鉄道駅はすぐに見つけることがでいた。嬉しい事に鉄道は毎日出ているようだ。早速、明日のサンタクルスまでのチケットを買う。思ったよりも簡単に今日の仕事は終わってしまった。せっかくなのでキハロの村を観光するが、基本的に観光客が見るようなところはここにはない。

今まで3ヶ月間はチリ、アルゼンチン、ブラジルを旅していた。これらの国は日本の中では発展途上国のイメージを持たれているかのしれないが、実際には先進国である。経済的に貧乏かもしれないが、決して発展途上国などではない都会的なイメージがある。

そんな堅苦しい都会的なイメージの国々からボリビアに入国した。都会的な堅苦しさがない、活気があり穏やかな雰囲気が漂っている。チリ、アルゼンチン、ブラジルのように観光案内所などはないが、村を歩いているだけワクワクしてしまう。久しぶりに味わう感覚が気持ちよい。

村を歩いていると、小学校を発見した。グラウンドで子供達がサッカーをやっている。俺はしばらくサッカーを眺めている。それだけで面白い。

昼近くなると、どこからか屋台が出てきたので、美味しそうなところを見つけて昼飯を食べる。午後も同じ感じでキハロの村を散策する。もちろん、スリや強盗には気をつけなければならない。

ボリビア3日目の朝、サンタクルス行きの列車に乗る。列車には大勢の人が乗り込んでいる。俺の席のうしろには荷物が壁のように積まれていて床から天井まで荷物で一杯になっている。当然、人間は座れない。俺の席の半分ぐらいまで荷物で一杯にされている。ひどい有様だ。

列車はサンタクルスまで20時間以上かかるらしいが、いったいどれぐらいかかるかは着いてみないと判らない。なぜならボリビアだから。俺の隣はボリビアの青年だった。彼と俺の席が大量の荷物で半分潰されてしまっている。ボリビア青年も苦笑いしてこの状況を諦めているようだ。どうにもならない状況らしいので俺も諦める事にした。荷物の持ち主達は荷物を座席に預けて自分達は通路に立っている。

列車はひたすらサンタクルスを目指して走る。昼飯や夕食は途中の駅で売っているものを買って食べる。久々の列車の旅はこれだから面白い。俺の隣のボリビアの青年はラパスの実家に帰るのだそうだ。なかなかいいやつだ。が、スリの可能性もあるので油断は出来ない。景色はどこまで行っても湿原が続いている。

夜中もひたすら列車は走る。サンタクルスには次の日の朝到着するらしい。荷物で半分潰れてしまっている座席で1晩過ごした。変な体勢だったので身体が痛い。荷物の持ち主達は通路に敷物を引いてそこで寝ている。その方が座っているよりも快適に寝る事が出来ていると思う。

外が明るくなってきた。荷物たちはサンタクルスのひとつ前の町で、朝早くに降りていった。それから数時間は快適な列車の旅になった。隣の席のボリビア青年と一緒に苦笑するしかなかった。

午前中にサンタクルスに到着した。サンタクルスの駅はバスターミナルの隣にいある。宿もすぐ近くにあると聞いていたので、早速チェックイン。列車の中ではほとんど眠れなかったので、部屋で少しのんびりとする。昼飯を食べるついでにサンタクスルの街を探索する。かなり広い街なので、市内バスを利用できるようにならないと、サンタクルスの観光は出来ないだろう。

次の日はサンタクスルの街を散策する。市内バスに乗って街の中心に連れて行ってもらう。とりあえず、ボリビアのお金が足りなくなってきていたので銀行で両替をする。それから、博物館を探すが見つからないので、面白そうなお店を見て周った。

ここはボリビアの中でも都会なので何か物足りなさを感じる。次の日にはスクレを目指して出発する事にした。

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