アンティグアの新年

2003年1月に行ったグアテマラのアンティグアの新年のご紹介。 アンティグア留学の資料は盗まれたのでありません。完全に俺の記憶だけを頼りにして書き起こしているので、事実と違うことがあると思いますが、その辺はご容赦を!!

2003年の正月をグアテマラアンティグアで迎える事が出来た。正月をアンティグアで迎えるためにかなり急いで移動を繰り返してきたが、ギリギリで間に合った。宿はかなり混んでいると思ったが、空いている部屋はあり、泊まることが出来た。

アンティグアの正月はロケット花火と爆竹が打ち上げられる派手でワイルドな正月だ。12月31日の夜中の0時近くになると、街の中心にある教会に大勢の人が集っている。教会に向う道が大勢の人でいっぱいになり、動くことが出来ないぐらいの人だかりだ。その人ごみの中にロケット花火が打ち込まれて、いたるところで爆竹が鳴り響くのだ。

0時になると、一気に周りのテンションが高くなり、ロケット花火や爆竹がいっせいに鳴り響く。少し身の危険を感じるぐらいの盛り上がりようだ。観光客も現地の人も一緒になって盛大に盛り上がっている。

この国のロケット花火は上に打ち上げるのではなく真横に打ち上げるらしい。もちろん狙う先は群集だ。真横に打ち上げられるロケット花火が右からも左からもやってくる。しかも、20連発とか30連発のロケット花火が打ち上げられるので、街中は市街戦をやっているぐらいの迫力と危険が感じられる。そんなアンティグアのカウントダウンを十分堪能し、教会や中央の広場のロケット花火と爆竹の盛り上がりの中を逃げのびていた。そのうちに疲れが溜まってきたので、そろそろ宿に戻ることにした。しかし、教会から宿に戻ろうとしても、いたるところで市街戦が勃発しているので、安全に戻ることが出来なさそうである。

出来るだけ、ロケット花火が飛び交っていない道を探しながら、少しずつ宿に向って進む。途中でロケット花火で人を狙うことに生きがいを感じている若者が道をふさいでいた。ここを通り抜けるにはロケット花火で狙い撃ちされてしまいそうだ。なので、しばらく物陰に隠れて待機して、彼のロケット花火が切れた時に一気に走って通り抜けた。彼が新しいロケット花火に点火している間を利用して通り抜けることが出来た。

そんな市街戦の真っ只中を潜り抜けて、ようやく宿に到着する事ができた。街中のいたるところでロケット花火の戦いが繰り広げられている。

今まで、髪の毛を伸ばしていた俺は2003年1月1日の正月に断髪式をおこない坊主になることを決めていた。なので今日は宿に泊まっている人たちにハサミを入れてもらいながら断髪式を開いた。胸あたりまであった髪の毛を全部切り落とした。そして、カミソリで頭を丸めることにした。

しかし、完全に坊主にするのも面白くないので、2本の触覚を残す事に決めた。5センチぐらいの長さで髪の毛を2束残すと坊主頭に触覚が生えているような感じになり、面白い頭が出来上がった。そして、頭が風邪をひいてしまいそうなぐらいスッキリしている。

ロン毛から一気に坊主になったのでこれまでの生活との違いが発生して戸惑った。まずはみんなに頭を触らせて欲しいと頼まれる。坊主の頭を触ると気持ちが良いのは万国共通らしい。今まではシャンプーも時間がかかって大変だったが、坊主になったので顔を洗うついでに頭も洗うことが出来てしまいシャワーの時間をかなり短縮する事ができた。2本残った触角はなんとなく恥ずかしいが、新年の7日間ぐらいは残しておくことにする。

アンティグアに来た目的は正月を向える以外にもう1つある。それは、アンティグアのスペイン語学校でスペイン語を勉強するためだ。アンティグアにはスペイン語学校がたくさんあり、かなり安い金額でスペイン語を勉強する事ができるのだ。中南米はブラジル以外はスペイン語圏なので、スペイン語を習得する事で旅の楽しさや快適さがかなり変わってくる。俺はアンティグアで1週間ぐらいスペイン語学校に通い、これからの南米の旅で使えるスペイン語の基礎を身に付けようと思っている。

断髪式の次の日から学校を選ぶために情報を収集する。実際にどの様な感じで勉強をしているのかを見せてもらい、校長先生や教頭先生からカリキュラムを説明してもらいながら学校を選ぶ。アンティグアにはたくさんの学校があるので、良さそうな学校を選ぶのは難しい。すでにスペイン語学校に数週間通っている人から話をきいたり、実際に学校を見せてもらったりしながら、どの学校に決めようか考える。

最終的には先生と生徒がマンツーマンで教えてくれる評判の良い学校に決めた。マンツーマンで教えてくれるのは嬉しいのだが、どの先生が良いのかは先生と生徒のフィーリングや相性が大きく左右するらしいので、どの先生が良くて、どの先生が悪いかは実際に授業を受けてみないとわからないようだ。

早速、月曜日の朝から授業が始まり、眠い目をこすって学校に行く。俺の先生はアンティグアに住んでいる英語を話すことが出来る女の人だった。大学生なのだそうだ。挨拶もそこそこに早速授業が始まる。授業はスペイン語と英語を混ぜ合わせながら進められた。

教科書は使わずに先生が例題を出して、その意味を英語で説明しながら、彼女の例題や説明をノートに書き取っていく方式でおこなわれた。旅で使うだろうと思われるフレーズを例題にしながら授業を進めていく。授業を進めていくうちに授業の英語率が少なくなり、スペイン語での意思疎通が多くなってきた。3日目ぐらいにはスペイン語で授業が進行していくようになって来た。彼女はすばらしい指導力を持っているようだ。

そんな彼女も俺の頭の事は不思議に思っていたようで、月曜日の授業が終わる頃に「その触覚みたいな髪の毛は何なのか」と言う質問を俺にしてきた。俺は右側の触覚からは世界の情報を収集して左側の触覚からは世界に情報を発信するためなのだと説明した。彼女は俺の説明を聞いた後、不思議なものを見るような表情を浮かべていたが、なんとなく納得してくれたようだ。

午前中はびっしりと授業をする。学生時代の授業の集中力とはまったく違う集中力で授業を受けているので、昼ぐらいにはすっかり疲れてしまう。学生時代の授業後にはこんなにさわやかな疲労感を感じた事など一度もなかった。月曜日や火曜日には授業が終わってから午後は宿に戻って勉強をしていたのだが、木曜日ぐらいになると疲れが蓄積してきたようで、午後から勉強するだけの集中力がなくなってきた。それでも、単語の意味ぐらいは復習をしてから明日の授業を受けなくては、授業時間がもったいない。気力を振り絞って夕方から復習をする。

最終日の金曜日も午前中にびっしりとマンツーマンの授業をする。最後は「良い旅を」とスペイン語を教えてくれて彼女の授業が終わった。かなり充実した1週間を過ごすことが出来た。

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