チワワ鉄道

2002年11月にメキシコのロス・モチスとチワワを結んでいる列車に乗った時の話のご紹介。雄大な渓谷をのんびりと1日かけて走る観光列車の旅。

チワワ鉄道はロス・モチスの駅を朝早く出発する。まだ、暗いうちに駅に向かう。駅は観光客でごったがいしている。観光客達は改札が始まるのを待っている。しばらくすると、改札が始まってぞろぞろと観光客が列車に乗り込んでいった。その流れから外れないように列車に乗り込んで出発を待つ。そうしているうち、にだんだんと外が明るくなってきた。

チワワ鉄道はロス・モチスからチワワまで1日に1本しか運行しておらず運行時間は15時間ぐらいかかるらしい。ロス・モチスからチワワまでは一日中列車の中に閉じ込められる事になる。準備万端にチワワ鉄道に乗る前日にお弁当代わりのパンお菓子などを買い込んだ。ピクニック気分でチワワ鉄道の1日を過ごそうという計画だ。

いよいよ列車が出発した。チワワ鉄道の旅の始まりだ。朝早くに駅に来なければならなかったので朝食はこれからだ。ロス・モチスの街の朝の風景を見ながらサンドイッチを食べ始めると、車掌がやって来て、なにやら注意を受けた。どうやら、このチワワ鉄道の車内は飲食禁止のようである。そんな事は聞いてなかった。せっかくのサンドイッチをどうしてくれるのだ?仕方がないので、おやつ用に買っておいたクッキーを食べて朝食の代わりにした。食事は禁止のようだが、おやつは食べても良いらしい。

チワワ鉄道は渓谷をゆっくりと登って行く。渓谷の絶壁の間を進んでいくのだ。しかも、絶壁に手の届きそうな場所を通る。途中にある鉄橋は数百メートルはありそうな高さの渓谷に架かっている。圧巻の眺めだ。そんな素晴らしい眺めの中をチワワ鉄道はゆっくりと進んでいく。車掌はガイドも兼ねており所々で車掌が解説してくれる。スペイン語と英語の解説なので、半分ぐらいしか理解できないが、景色の雄大さと美しさは解説なしで理解できる。

この、チワワ鉄道には地元の乗客は乗っていない。なぜなら、ロス・モチスとチワワを移動するだけならバスの方が早くて便利なのだ。それでも、列車の旅にはバスの旅では味わえない醍醐味がある。だから、バスよりも不便な列車が今でも走り続けているのだろう。

お昼を過ぎた頃にロス・モチスとチワワの中間地点のポサダ・バランカス駅に到着した。ここでしばらく休憩するが、停車時間はよく判らない。半分ぐらいの人たちがこの駅で下りた。ポサダ・バランカスのからはコッパーキャニオンを見る事が出来るらしい。

しかし、ポサーダ・バランカスで途中下車した場合、チワワ鉄道は1日に1本しか運行していないので、ここで1泊しなくてはならない。ここには高級リゾートホテルが一軒しかない。そこに宿泊するには予算オーバーしてしまうので、途中下車は諦めてまっすぐにチワワを目指す事にした。

このポサダ・バランカスで登りの列車と下りの列車がすれ違う。このポサダ・バランカスがロス・モチスとチワワの中間だというのがうなずける。ちなみに、ポサダ・バランカスの標高は2200メートルだ。半日かけて、海岸近くのロス・モチスから2200メートルも登ってきたのだ。

ポサダ・バランカス駅で沢山のお客さんを降ろしたまま列車は出発した。10分もしないうちに、ディビサデロ駅に到着した。昨日、ポサダ・バランカスで途中下車したであろう客が沢山乗ってきた。これから、チワワまではこのメンバーが旅の道連れになるのだろう。

ディビサデロ駅を出発する頃には空気が冷たくなっていた。天気は快晴だが、標高が高くなり空気が薄くなり気温も冷えてきたのだろう。2000メートルを越す高地では空気が冷たくて当然だろう。

チワワ鉄道はディビサデロ駅を出発した後はひたすらチワワを目指して進む。途中にあるクリーク駅などに立ち寄りながら進んでいく。途中で夕日が沈むのを見る事が出来た。空気が薄いので夕日が沈むのも普通の平地よりも綺麗だ。

夕日が沈んでしまった後は景色を見る事が出来ず、暗闇の中をひたすらチワワに到着するのを待つ。到着予定は9時であるが、メキシコの鉄道は遅れるのが普通である。ひどいときには数時間以上も遅れる事があるそうだ。1日中列車に乗っていたので、すっかり疲れてしまった。ぐったりしながらチワワに到着するまでの最後の数時間を過ごした。

今日は運が良いらしく9時半にチワワの駅に到着した。30分しか遅れてないとはラッキーである。駅からタクシーでチワワの街の中心に向かう。街の中心でタクシーを降りて、あたりを見渡すと何か様子がおかしい。夜10時前のチワワの街はどの店も閉まっていて治安が悪い。安宿を探して歩いていると変な2人組みが後をつけてきている。身の危険を感じたので素早く目当ての安宿に向かった。宿をみつけてすぐにチェックインしたので、何も被害はなかった。

最後の数時間はかなり疲れたが、迫力のある綺麗な渓谷を見る事が出来た。1日で十分にチワワ鉄道を満喫する事ができた。

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