ロスの地下鉄

2002年11月に日本を出発して最初にアメリカ合衆国のロサンゼルスの空港に降り立って、バスターミナルに行くために乗った地下鉄の話のご紹介。列車の旅といえるかどうかは怪しいところ。

たぶん、俺が今回の旅の中で一番恐怖を感じた場所がこの地下鉄だ。なんといっても治安が悪いのである。空港からバスターミナルまでは1度地下鉄を乗り換えなければならないが、その、乗り換えの駅のホームが恐ろしい。どうやらこの駅はロサンゼルスのスラム街にあるらしいのだ。ホームに漂っている雰囲気がかなりおかしい。隅のほうに、なにやら怪しい数人のグループが暇をもてあましている。今にもこちらにやって来て、話しかけられて、そのまま身包み剥がされてもおかしくない空気が十分に漂っている。そんな兄ちゃん達にからまれない様にして、早く地下鉄が来てくれることを願いながらおとなしくしている

やっと、ホームに地下鉄が来てくれた。しかし、ここで安心してはいけない。地下鉄に乗るタイミングで襲われる可能性もあるのでしっかりと警戒したまま素早く地下鉄に乗り込む。

地下鉄に乗り込んでも油断してはならない。安全そうな席を見つけて座った。俺が座った席の向かい側にウォークマンを聴きながらヘラヘラと笑っているドレットの女の子がいた。その女の子はずっとヘラヘラと笑っていて、何となく様子がおかしい。どうやら、怪しい薬で気持ちよくなっているようだ。俺には危害はなさそうだが恐ろしい光景だ。地下鉄の中も気を抜く事はできない。

空港からバスターミナルまではほんの1時間ぐらいの移動だったが、かなり神経を使い果たしてしまった。旅の初日からいきなり、こんなにエネルギーを使う乗り物に乗るとは思わなかった。しかも、天下の先進国、アメリカ合衆国での出来事だ。

その後、1年半の旅を続けて南米やアフリカや東南アジアを巡ったが、俺が体感した世界で1番恐ろしい場所はロスの地下鉄だった。世界の警察と豪語している国が1番恐ろしいと感じた。

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